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「泥棒猫エリン物語」あとがき

以下、おしながきです(・ω・)

・最終話の作成の舞台裏
・最後にくっついたカップルについて
・主要三名登場人物について
・裏設定(別名:脳内設定)について

あとがきなので、Season1ネタバレ満載です。
親バカ愛が気持ち悪いくらい大全開です。引くと思います。先に謝ります、ゴメンナサイ。
私の事は嫌いになってもSims3は嫌いにならないでくださいwww

恥を忍んで初期の古いSSも公開してます。色々とご注意ください。

「泥棒猫エリン物語」長すぎる&妄想爆発なあとがき


















まず最初に、Sims3というゲームに魅せられた管理人がネットの片隅で書いている素人ストーリーに
目を通してくださった皆様に厚く厚く御礼申し上げます。

完結祝いのお言葉をお寄せいただいた方々、ありがとうございます。

コメントで感想をお寄せいただいた方、拍手で感想をお寄せいただいた方、
そっと拍手パチパチしてくださった方、
検索で「泥棒猫 エリン」「シムズ3 日記 エリン」とかで検索してきてくれた方、 
何も言わずに黙ってリピーターになったくださってる画面の前のそこのあなた様も!!(`・ω・́)9m ビシッ
ありがとうございました!!!


追伸:検索で「イアン×エリン」で検索してくれた方、2人がくっつかなくって超ごめんなさい!!!(笑)




以下はあとがきをツラツラと書いていこうと思います。親バカ全開ですのでご注意ください(;´Д`)



■最終回の作成の舞台裏
最終回すっごい長くなっちゃってごめんなっさーい!!orz(土下座)
画像が多くって、ごっめんなっさーーーーーいい!!!orz(さらに土下座)
イアンとダイアナちゃんの話は番外編にするかすっごい悩んだんですが、Season2のつなぎにブチ込みました!
ごっめんなさーいいい!!


まずストーリーでも結婚するということで、当然ゲーム中でもアレックスとエリンは結婚しました!!!!(大喜び)
そのプロポーズですが皆さんも自シムでいやってほど見てるかもしれませんが
自分が気に入ってるのでSS貼ります(*´Д`)

箱が出たよ、箱が(ニヤニヤ)
atogaki (1)

アレックス、めっちゃいい顔!アンタ 本当笑顔似合うよ!本編でも使いたかったよ!!
atogaki (2)

これには元泥棒のエリンも夢中!どんだけ指輪光ってるんだ!
atogaki (3)

くっそ、いい顔で抱き合うじゃねぇか!!<バシャバシャ:SS撮影連写>
atogaki (4)

(*´Д`)幸せにね!!!!<バシャバシャ:SS撮影連写>
a<br />togaki (5)
これを機にエリンから「盗癖のある者」特質を削除、
2人の特質も「超ロマンチスト」をセット。当然、一途にいきますよ!(*´Д`)





実は私は「ジェネレーションズ」を入れてから初めて結婚式開催をするので、
ウェディングアーチがカタログのどこにあるのか見つからず、小一時間格闘しましたwwww
結局「ジェネレーションズ」コレクションに収まっているところから取り出しましたよ~。

で、設置したら「オイ、入れねぇよ!!!」と総員突込みwwww
ゴwwwwメwwwwwンwwwwwwwww まさかのイアンまでノリノリとかwww
あとがき

そうして結婚式を開始。
ストーリー用の結婚式といっても、自分的に何回も結婚させたくなくて(超こだわり:笑)
ぶっつけ本番一発勝負で撮影に臨むつもりだったので撮りこぼれが出ないようヒヤヒヤです!


そうしたら奇跡が起きました。
あのね、ゲーム中のイアンもマジでエリン好きかもしんない(真顔)
ストーリでも使用した式の最中に彼がしていたこの表情SS↓ですが、実は私は何もいじってないんです。
35-28.jpg
コイツ、本当にいきなり彼らをじっと見つめだしたんですよ

もう私驚愕ですよ!
結婚式だと全シムが泣いたり、「いや~ん」ってウットリ顔したりするじゃないですか!

最初イアンも肩捩じらせて「素敵~」みたいなリアクションしてたんですが、本当に急にこうなったんです。
興味なくなって他のことしだすのかと思ったらそれもしないし!!
『結婚式を見る』(だっけ?)コマンドは実行中のまま。
何かの欲求が危険値になったわけでもないし、いまだに謎です。

(ちなみに関係はダイアナちゃんも含めて4人全員互いに「親友」関係です)

もし普通にあるアクションだとしても、
複数のシムの中で唯一イアンが選ばれてこの位置でその表情っていうのは正直何かある(確信w)

「アレックス身体クネクネ&エリン表情崩れ」で本編では没にしましたが、証拠のSS(一部拡大)がこちら。
atogaki52.jpg
うっわ、切ねぇ!(´;ω;`)!
バグでもいいよ!付喪神的なものが取りついて、本当にイアンが宿ったのだと信じてますwww
親バカの重すぎる愛ですwww
(※ダイアナちゃんの崩れ具合wwwかわゆすwwww)

そしてこのシーンを受けて、一度書きあがっていた最終回をイアン関連で色々書き足しました。
(イアンの『綺麗だ』&ダイアナちゃんモノローグ『いつから、やめたんだろう。それとも、今でも?』の
 くだり等です)
SS撮影中にこういうひらめきをもらって文章を直すということが多々あります。

エリンにプロポーズを断られてから3年。
たぶん一番の彼女の親友として彼女を見守りながら、イアンはこのときもエリンを女性として愛していたのか?
それはダイアナちゃんと読んだ方のご想像にお任せします。





シーズンズはスローダンスのために買ったといっても過言ではない!と、
色々なところ(当ブログレビューや人様のコメ欄(迷惑すぎる;)など)で漏らしてましたが、
当然ラストシーンもスローダンスです//////
映画でよくある、王子様とお姫様のスローダンスとか、新郎新婦のファーストダンスって素敵じゃないですかっ!////
ロマンティックコメディとか
ディ○ニー(『魔/法にかけら/れて』とか『美女と野/獣』とか!!////)が好きなんで、
そういうシチュエーション自体が大好物ですw



しかし苦労したのは若年同士のエリン&アレックスではありません。
そうです。十代のダイアナと、若年のイアンのスローダンスなんです(;´Д`)
通常ですと、
このように違う世代だとゲームの仕様でスローダンスができません(激怒)
なめてんのか!!
歳の離れた大人に恋する乙女だっていんだろうが!教師と恋に落ちる生徒だって居るだろうが!!
『プリティ・リトル・ライアーズ』の教師エズラ×生徒アリアのカップルに謝れ!!

で、いろいろ方法をさぐってやっと撮影w (一応記事まとめました→こちら

没にしましたが年齢差による背の差が分かるSSです。背の違いが可愛すぎませんか?///
35 (57)

あああああ、ダイアナちゃんかわゆす!////(気持ち悪くてすみません、仕様です)
35 (55)




BGMについて。
『ハイ/スクールミュージカル』の
私が愛する性悪ブロンド・シャーペイ役を演じていたAshl/ey Tisd/aleの「Wh/at If」です。
YOUTUBEでこの曲をリピートしながら最終回を書いてました(*´Д`)

そうしたらラストがダイアナちゃん失恋話っぽくなりそうになって、
ハッピーエンドが絶対なのにあぶねえ、あぶねえww
「歌の力ってすごい!」と皆様にも共有できたらとリンクを載せさせていただきました。
メロディラインが「これは!!」という感じだったのですが歌詞はストーリーと全然違います(;´・ω・`)



■エリン&アレックスについて

今なら言える!
この話は「女泥棒の部下×女泥棒」という個人的萌え設定のお話です!!(イアン・・・・・wwww)
種類的には「執事×お嬢様」に通じるものがあると思います。
なんというか、この下剋上的な感じ!(大興奮)

恋愛の色が出て、立場入れ替えというか・・・攻守が入れ替わるのが大好物ですw
その萌えポイントがイマイチ書けてなかった気がするんですけどね(´・ω・)それは私の能力の問題です。

コメント欄でも触れさせていただいたことがあるのですが、
このストーリーは「表主人公エリン&裏主人公アレックス」という構成です(*´Д`)
エリンは自分は強いと思っていたけど、イアン達との交流を通して人間性を学び、自分の罪の重さと弱さを知る。
アレックスは自分は弱いと思っていたけど、弱くなったエリンのために自分の中の強さを見つける。
ちょうど相反関係です。

そしてエリンがダイアナちゃんのように嬉しさ爆発して抱き着いちゃったり、
アレックスが必要の為であればイアンのように傲慢で、それ以上に冷徹なふりをしたりと
出会った人々に影響されて、少しだけ性格・行動が変わってます。

32-17.jpg
このSSを撮影したときは感無量でした(*´Д`)今までで一番のお気に入りSS!やっとくっついたよ!









さて、次は登場人物について。
恥を忍んで初期のSSも出しますよ!!!(////;)
本当は初期ストーリーも、すっごくSS入れ替えたいですが、
プレイ歴3か月でこのブログを始めた初心者の記録という面で、シムの外見の変化も売りとして(ww)
たぶん このままにしておきます!





■エリン・ウッドヤード(ダイアナ)
バレバレでしょうが、私は『いかにもお色気ブロンド』の典型的なタイプが大好きです。
私が好きなものを詰め込みました。
「女泥棒」「ブロンドちゃん」「唇ぽってり」、「泣きボクロ」、「遊び人(!)」、「おっぱいでかい」、
「実はお姫様」、「知識と経験がアンバランス」 hshshshsh(コラ) 堪りませんね!


設定では美人だけど、肌やまつ毛・メイク等 変えてない超初期のエリンはこうでした!貴重な一枚!
エリンアップ
誰だお前!!!Σ(゚∀゚;)

色々な方のブログ記事などで勉強させていただいて、肌や目、まつ毛・メイク等入れて、
↓こうなりまして・・・・
erin.jpg
この髪形は「Telephone」のガガ様っぽいので飛びつきました。


グラボ実装で、現在の姿に!
最近では美しいと褒めていただけるようになり//// めちゃんこ嬉しい!!! ありがとうございます/////
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いわゆるおバカブロンドではなく 自分の優秀さ・美しさを過不足なく理解していて、
基本は「楽しいことが大好き。それだけのいいの♪一人で何でもできるわよ」と悪いことに罪悪感なんか全っ然持ってない
というのが最初のエリンでした。

でも他人に完全に無関心であるかといえばそうでもなく、
元々人との交流が薄かったせいで、常識よりもずれて通常以上の親切をしてしまう節があるバランスが悪いコです。
倒れたアレックスを介抱だけでなく連れていくことにしたり(第二十二話)、
"役に立たなかった"風邪引きイアンを結局追い出せずに泊めたり(第八話)、
夜になっても牧場にいるダイアナを心配してしまったり(第十五話)、
直に会って初日のマーガレットに頼ってね(第十八話)と言い出したり。
アレックスも『だから彼女の周りに人が集まったんだろう。(第三十話)』と内心言ってます。

ストーリーでダイアナと同い年くらいだった部分が成長して"柔らかさ"が加わり、
色々弱くなってしまいましたがその分アレックスが支えるという感じですね。

あと外見の変化ですが、
実はエリンがアレックス達に自分の過去を話し、泥棒をやめたあとは
あのトレードマークの赤ルージュではなくなってます(※ダイアナ誘拐事件のスッピン時を除く)
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あの強い色をもう不思議と選ばなくなったんですね。
女性は変化があると化粧も変わると思うんです!その転換を密かに出していたりしてます(゚∀゚)エヘ!


ちなみに彼女がゲーマーになったのは確実に私の影響ですwwwwwww
いや子供の頃ゲームしてないで大人になって触れると、
感動の嵐じゃありませんか!?(お前なんでそんな必死なの?w)
だから私がSims3にハマッてるのは私は悪くない!!!(キッパリ!)





■アレックス(アレクサンダー・サウス公爵、画家アレクサンドロス・ダレイオス)
私が大好物な眼鏡男子として作ったのに眼鏡かけてないシーンの方が多くなったという作者を裏切りに裏切り続けた男
それがアレックスですwwww
コイツ 極悪人だよ!バカッ!(号泣)     うそですwwwお前は本当によくがんばった。
でも第三十四話ラストの「もうすぐだよ」シーンの眼鏡SSはせめてもの私の作者としての抵抗ですwww

肌は初登場からMOD使用してましたが初期のアレックスはこうでした(ふむ)
面影ありますが髪型のせいで別人ですね!「いかにも部下!」っという感じです。
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鼻を少し調整していますがそれ以外はいじっていない!やったね!

髪下ろし眼鏡アレックス!!!!  ( ゚∀゚)o彡眼鏡!眼鏡!眼鏡!眼鏡!
眼鏡をやめたのは、このレンズの映り込みのせいです(泣)顔が見えないんだもん・・・・
20 (14)

紫の髪にしたのは、うちのシムの髪色全員地味だな!と思ったから。
ちょうどサンセットバレーに来るときにイメチェンさせる必要があったのでアレックスがターゲットに。
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彼の属性は、
「眼鏡(ちっくしょうww)」、「女泥棒の忠実な部下であり惚れてる」、「守る愛」、「優しい顔」、「いい声」、
「密かに嫉妬深い」、「女泥棒に盗まれてきた”所有物”と自己認識してる(萌えるw)」、「実はお坊ちゃん」です。

エリンの一番近くにいるためにはと己を殺し、ただひたすら部下とありつづけるのが最初のアレックス。
優秀な部下~っていう感じです。

薬に逃げてしまったほどの自分の弱さを非常に痛感していて、
そんな彼を心身ともに救ったエリンには並々ならぬ敬意と愛情と、根底には非常に強い独占欲が渦巻いてます。
育ちのいい物腰柔らかな彼のそんな黒い部分、たまりませんな!(帰ってこいwww)

しっかし遊び人エリンを間近で見守れる忍耐はすごいと思う(;´Д`)
だから本当は弱いはずはないんですよね~。目的がないから、その強さを発揮する気にもなれないだけで。

セクシー強化月間にもかかわらず、
アレックスのアダルト番外編ストーリーがなかった、かつ「イアンはいいけどアレックスはだめなの!」と
言い続けた理由は最初に書くべきはエリンとの夜だろうという思いがあったから。
ささやかな親なりの配慮です。
Season2でエリンと甘々な夫婦になる予感が、すでに最終話の挙式風景でも醸し出されてましたね(*´Д`)

当初予定していたよりカッコイイセリフ吐いたり行動したりすることの多い、作者の思惑を超えがちな奴です。
これだけ好き放題書いてるあとがきですら、
彼へのコメントにはなぜか「www」とかも いっぱいつけられないw
わが子ながら、不思議なやつです。




あ。
次の子もかなり頑張ったし、勿論かなり愛してます。が!なぜか沢山付けられますwwwwww
アレ?wwwwwww


■イアン・グレンツ

『最強の当て馬』イアン・グレンツ様のお通りだ、てめえら、どけ!!!
嘘です。イアンは絶対に自分を当て馬なんてこと言いませんし思ってもませんwすいませんw
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彼に詰め込んだもの。
「俺様!(キタ(゚∀゚)コレ)」、「大富豪」、「自信家」、「攻める愛」、「逆三角形体系」、「遊び人」、
「泣き上戸(wwwwwwww)」、「口が悪い」、「・・・・当て馬(ナンテコッタイ)

それでも・・・当て馬でも、おかーさんは君を愛してるよ、イアン!!(号泣w)
むしろ女としても愛してるよ!(何言ってんだお前wwwww) だから落ち込まないで!!!!

イアンは実はアレックスよりも歴史が古いシムです
Sims3プレイを始めたときにかなり沢山の自作シムを街に放り込みました。
確かカタログに元々いるシムを整形したので、初期は服装&髪型はそのシムのままですね(;´Д`)
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フリーウィルプレイを元にした初期のストーリー日記を書いていた頃に本当にクラブでエリンをナンパしたのが、
コイツですwwwだから登場するようになりました。

第15話で髪を切ってもらい、顔がやっと確定。
比べると顎を相当変えたのに驚きましたΣ(゚∀゚;)ちょこちょこ変えてたので気づかなかった!
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キャーーー!不機嫌顔が素敵!!私にも怒って!叱って!むしろ怒鳴って!!www(このドMめww)
何度も言いますが、親バカは仕様です。すみません。

あっ////  でも一番のイアンお気に入りSSはこれなんです///// (*´ω`*)つ□ ピラリ
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やっぱりハレンチ指舐めSS―――(゚∀゚;)――wwwwww
本当バカですいませんwwww
一枚にかけた撮影時間では最終話を迎えた今でも一番長いですww 角度調整にかなり費やしました。
最終話時点のイアンの髪型もこれにしたのは、私のツボにドン☆ピシャときたからです。

『女なんてヤれれば充分だろ』と堕ちるとこまで堕ちていたイアンにかつて優しさを思い出させたのが
人との交流を殆どしたことないエリンという皮肉な出会いでした。
お金があっても手に入らない、よくあるテーマですがそれは『時間』と『愛』かなと。
時間という面では、すでにエリンと長年共にしてきたアレックスには永遠に適わないし、
愛という面でも、すでに目を通していただいた通りの結果に。

それでもエリンがアレックスを待っていられたのは、きっと間違いなく"親友"のイアンが居たからです。
ダイアナちゃんという第三者の後押しのきっかけがあったからと言って、彼もよくそこまでできたと思います。

ちなみに自信家なのは事実優秀だから、それをしっかり自覚をしているということですかね。
そういう意味ではエリンに通じます。
仲良くなってからは ある意味わざと、ある意味甘えて偉そうな素振りをエリン達の前でしていますが、
基本的に普段の生活ではちゃんと堂々と礼儀正しく振舞える奴です。
でないと大成しませんからね!

もうね、今の私は今度こそ君だけは幸せにしてみせるよと、
『劇場版エヴァ破』終盤の渚カ/ヲル君のような気持ちです。(マジで)
お前のためのSeason2だぞ、イアン!(`・ω・´)9m ビシッ  スンナリは いかないけどなwww

はい・・・・・・そろそろ 言い訳できないですね!(´Д`;)

もーバレッバレだと思いますが、すいませんwww 
私は外見・内面共にイアン派ですwwww(言い切った!ww)
ぶっちゃけ不憫な子ほど可愛い心理が強烈に働いていると思います。
Season2でイアンが眼鏡かけたたら、「やりやがった!w」と笑ってくださいw





■「もしも」の裏設定(脳内妄想 最大爆発)
今更ですが、うちのストーリーは完全120%脳内妄想で構成されています。
その片鱗として、裏設定をご紹介しますwww

もしかしたらお気づきの方もいるかもしれませんが、
かなりもしもの話ですが『アレックスの兄が生きていて』『エリンが問題なく王室に入っている』とします。
すると、それでもエリンとアレックスの2人は結婚することになるんですね!(ニヤリ)
公爵家の子供で男であれば 可能であれば女王の結婚相手を出すので、
サウス家は喜んで次男であり年の近い彼を差し出しすこととなります。
正室ですね。
彼が自虐的に言っていた通り、まさにアレックスは種馬ですね!(´・ω・`)ワー ヒドーイ

ただしその場合は当然 互いへの愛は薄い悲しくすれ違う結婚生活になります。
『風と共に去りぬ』のスカーレット&レット夫婦から愛を引いた感じで。
うわ、何それ切なっ!
きっと人前だと良き夫婦で一瞬それが本物なのかと錯覚しちゃったりなんかして、
「そんなわけない」って不仲にすれ違い続けたりするんだぜ!
くっつくはずの2人が状況が違えばそうなるとか萌えるwww(バカwwww)


そして少し年数が経った頃に、イアンがとある慈善団体設立をして勲章授与で女王エリンの前に登場します。
当然、モデルと結婚・離婚を繰り返した遊び人モードのままのイアンです!
パーティー抜け出したエリンとイアンが、一日だけ身をくらませて・・・・ね(妄想)
こっちは『ローマの休日』アン王女&ブラドリーって感じでしょうか。
映画と同じくベッドも共にしちゃうんだ!(映画でも示唆されてたし!)
で、自分の会社も立場もあるイアンが側室の一人なんかに収まれるわけもなくて1日で別れるんだ。
でもってラストで記者会見とかで「もっとも印象に残った場所は?」って質問されて、
アレックスは「どの場所も魅力にあふれ・・・」というお約束の答えをするのに、
エリンが「サンセットバレーです。生涯この地の思い出は大切にしていゆきたいと思っています」とか
答えちゃうんだwww(まんまじゃねーかwww)
あ、ダメ、超萌えるwwwwwwww(超バカwwwwww)


そうなると明らかに成就はしない悲恋ですが、エリンの心を永遠に勝ち取るのはイアンになるんです。
ふしぎ!

ダイアナちゃんは当然イアンと出会うことなどはなく、サウス家に引き取られてきた不憫な妾の子となります。
当然アレックスとはよき兄妹にもなることはありませんし、エリンともよき義姉妹にもなりません。
超BADエンドですね。

まあ、この4人はそのくらい縁が深いという裏設定でした!(*´Д`)エヘヘ

最後の最後まで気持ち悪くてすみません。










本当はダイアナちゃんも紹介したかったですがSeason1はこの3人があくまで中心だったので、
割愛とさせていただきました。

長い長いあとがきとなってしまいましたが、
ここまで目を通してくださってありがとうございます。


しばらく更新はお休みしてSeason2のプロットを作って、人様のブログで萌え萌えしつつ、
また12月下旬くらいからストーリーを再開しようと思います(*´Д`)


あらためて、皆様ありがとうございました!

最終話 Erin Woodyard エリンの物語

画像枚数が多いため読み込みに時間がかかる場合があります。ご注意ください。


ダイアナが16歳なりたての冬、アレックスがいなくなってちょうど丸3年。

その年のクリスマスは前日の雪が残っている中、一緒に過ごす恋人なしの者たちがイアンの自宅に一同に集った。
この国ではクリスマスといっても色々な宗教が雑多にあるため、家族で過ごすより恋人と過ごすという
デートイベントの色が強い。
35-1.jpg

悔しそうな顔をしながら、イアンが料理を並べるのを手伝う。

「・・・・よりによって俺がマークに負けるとか何の冗談だ」
「しょうがないよマーク何気にいい身体だもん。アッチの人に元々モテるんだよ?イアン」
「やめろ、いい身体とか言うな。今してること想像する」
「やだー!そっちこそやめてよ!こっちまで想像するでしょ!?」

ダイアナの母親のマーガレットは年上男性と付き合い始めており、今日はダイアナのお墨付きで
クリスマスデートをしている。
マークもちゃっかり今年は彼氏持ちとなって来ないこととなった。
エリンは必死にグリルに向かい合って無言で料理に格闘している。

「ダイアナ、お前友達と騒いだりしないのか」
「するよー。ここ終わったらね。友達の家で皆でお泊りするんだー」
35-4.jpg
「お、もしかして男か。やるな」
「!!? 違うよ!んもー、なんでそういうこと言うの!すっごいオヤジっぽいよ!」

顔を真っ赤にしてダイアナが必死に言い返した。
ダイアナの初恋は切ないながらも、まだ続いている。
本当ならすでに友達たちは集まっているはずだが、
『脈がなくても好きな男と一緒に過ごせるならと行って来い!』と全員から背中を押されて今日はやってきた。

あと、もう一つの理由。
今日みたいな日は、やはりエリンを放っておけない。それはきっとイアンもそうなんだろうと思っている。

「できたわ!焼けた!焼けたわよ!!」

出されたエリン渾身のステーキは表面が少し焦げてはいるが、食欲をそそる色ではある。

「・・・・今回は食べられそうだねー」
「切るまで分からねえけどな」
「大丈夫。休日診療の病院はもう確認してあるから」

今度は中々自信があるらしいが、イアンは非常に不安そうに料理を見下ろす。

さてそろそろとりあえず食べるか、というところでダイアナの携帯電話に新しいツイートが複数入っているのに
気付いた。
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どうせ友達の愚痴ツイートだろうと適当に時系列に追って、ダイアナの動きが止まる。

発信元は、政府の公式アカウントで『緊急政府発表:11:00~ 王府省 記者会見』とだけ。
内容に一切触れていないツイートの文章と、めったに出ない"王府省"という言葉に心臓が動揺する。
現在16:56。
今日は3人ともダラダラとゲームに興じて、まともにテレビを付けて最新ニュースなども見ていない。

もしかして。

「テレビ!!」

ダイアナが転がるようにしてテレビに駆けてゆき、リモコンを探すこともせずに本体の電源で付ける。
ニュースチャンネルに合わせようとして、
イアンに渡されたリモコンでいくつかのチャンネルを回してそれが意味ないことを悟る。
全てのチャンネルが同じ記者会見を放映している。
しかし時間帯が悪く次々にコマーシャルに入ってしまう。。

「なんなの?」
「誰か何があったのか言ってよー!」

テレビのニュースのアナウンサーに言うようにダイアナが叫んだタイミングで、赤い文字のテロップが現われた。

『三大侯爵家、全王位継承権の永久放棄および全爵位の返上を正式決定』
『政府も正式受諾』

永久、放棄。
永久放棄。

「・・・・・ッ!」

3回読んで、頭の中に意味が全部やっと入ってきたところで、
耐え切れずにダイアナが顔を覆ってテレビの前に崩れ落ちた。
ダイアナの吐き出すような泣き声が部屋に響く。

ずっとアレックスがこの街を去ったことになったのは自分のせいだという重い自責の念があって、
やっと解放されたのだろう。

そんなダイアナの様子は分かっていても、エリンは声すら掛けられない。
やっと理解して膝が震えて、ずるずるとソファにしゃがみ込む。
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あいつの最後の狙いはこれか。
流石のイアンもそんな2人に気を回せず、アナウンサーが興奮気味で話す内容を耳に入れてやっと呟く。

「終わったか」

次世代の公爵家を担う子供たちによる家庭内クーデターだ。
これでこの国から正式に王室存続の可能性は潰え、数百年の王朝の歴史が正式に終わった。

エリンが後継者扱いで王室に戻る可能性も完全に消え、
第6王位継承権の資格があるダイアナがサウス家に狙われる必要はなくなり、
公爵家の人間は王室制度に縛られて家を存続のために身売りのような望まない結婚をすることもなくなる。
公爵家の人間が公人から、個人へとなった。

じゃあ、アレックスは?
エリンの疑問に答えるように、アナウンサーが告げる。

『では三大公爵家・・・・失礼いたしました。
 元、三大公爵家を代表し、会見に臨まれたアレクサンダー・サウス氏の映像をもう一度ご覧ください』

画面が切り替わり、3人に見慣れた顔がアップで写った。
少し街を去る前よりも痩せてはいたが健康そうで、
エリンが初めて彼にサウス家に出会ったときと同じ仕立ての良いスーツ姿でも明らかに凛々しさが増していた。
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その会見はすでに映像が編集されているようで本題が唐突に始まった。

『ベンジャミン家当主ローズ・ベンジャミン夫人、先月当主就任なさったベイリー家当主マリア・ベイリー夫人、
 および私サウス家当主アレクサンダー・サウスの三者は、すでに王府省より発表のあった通り
 王位継承権の永久放棄、および現爵位の返上を昨日政府に申し出、本日10時をもって政府に受諾をいただきました。
 代表して、ここにラマ王朝廃止を宣言します』 

彼はもう"卿"という呼び名すら使わなかった。
アレックスに画面中が真っ白になるほどのカメラのフラッシュが集中して焚かれる。
メディアの呼吸を読むようにひと段落するのを待って、アレックスは続ける。

『これにより同じく本日付けで三家が所有する公的財産も全て政府に返上となりました。
 以後、三家は公人ではなく引き続き国家・社会のために奉仕する一市民として、皆様と共に・・・・』

画面に引き寄せられてテレビに距離を詰め、エリンがアレックスの顔を食い入るように見つめる。
難しいことを一通り話したあと、記者からの質疑を受けだした。

『ネイション・タイムズのマイケル・スミスと申します。
 サウス卿!今後はどのようになさるおつもりなのか、ぜひお聞かせ下さい』
『もう私のことはサウス卿ではなく、普通に呼んでいただいていいんですよ、スミスさん。
 ・・・・マイケルの方がいいかな?』

一転して和やかに笑ったアレックスの笑顔につられて、記者団の空気も緩んだ。
ああ、あの顔だ。

『今後について。私個人のことでいいでしょうか。
 これからとりあえず私は昼食を食べたいので、この会見が終わった後は正面入り口から徒歩で出て
 目の前にあるカフェに行ってランチを持ち帰りで買って、のんびりそれを食べながら家に帰ります』
『それは今お住いのブリッジポートのご自宅ですよね?』
『・・・・いま私は家、と言ってしまいましたが、これ以上はお相手の方に言って承諾もらってからでないと。
 私が一人で勝手に言ってはいけないことだと思うのでお話しできませんがご寛容のほどお願いします』
35-11.jpg

不意打ちでアレックスから画面越しのプロポーズを受けて、エリンが呆ける。
明らかに気が逸ってしまった、という顔でアレックスが困ったように笑うのを見て、
イアンが「焦りすぎだ」と苦笑を漏らした。

当然一気に記者団が色めきだち、相手のことについて質問が矢継ぎ早に殺到したのをアレックスは笑顔で黙して
他の記者を指した。

『サウス、さん。今後は公人ではなく一市民になられるということですが、
 おそらくこれが最後となるのでしょうがあなたから国民に向けて伝えたいことはありますか?』
『そうですね。私たちは今日で普通の一個人、つまり皆さんのただの隣人となります。
 ローズ夫人は普通に街で買い物をするでしょうし、マリア夫人も映画館を普通に訪れ、
 私も普通に公園を散歩するでしょう。もしも街中でただの隣人として皆様と出会うことがあった時には、
 ただの隣人というつもりでごく普通に接していただきたい、ただこれにつきます』

一人の人間として、あのサンセットバレーを歩くときは、"ただのアレックス"だ。

『皆さんにお教えていただくことの方がきっと多いでしょう。
 その際は隣人として友人として他の方々に対するものと変わらず、どうか接していただけたら嬉しいです』

そして会見の映像が切り替わり、
明らかに興奮したアナウンサーが会見が最後は会場中が沸騰したような拍手で終了したことを伝えた。
他のチャンネルにで3回同じ会見を見て、冷めきってしまった食事を見ながらイアンが言う。

「今日はお開きだな。ブリッジポートからもう着いててもいいだろ。家に帰って待っててやれ」
「エリン、ほら立って!」

エリンに飛びついて、立たせようと腕を引っ張るダイアナを困ったように見返す。

「わ、笑わないでね・・・・膝、力入らなくて立てないの・・・・」

こんなの、なったこともない。
泣き笑いのような表情で2人を見上げる。
明らかに見てとれるくらいにエリンの膝が細かく震えているのが分かってダイアナはまた泣いた。

「・・・・俺が下まで連れてく。ダイアナ、下にタクシー確保するように電話しろ」
「うん・・・うん・・・・」

そういって泣きながらもダイアナは言われたとおりに、
イアンのマンションのコンシェルジュに電話を掛けるために受話器を取った。
荷物でも抱え上げるように、イアンはムードもない持ち方でエリンの体を持ち上げた。
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まるで米俵のように抱えられているのにエレベーターの中でもエリンは放心状態で泣きすらしない。

「おい」
「え?」
「・・・・・年明けには顔見せに来いって言っとけよ」

すぐに、とは言わない。

そしてあのイアン・グレンツがクリスマスの夕方に、
自宅マンションで美女を物のように肩に乗せて運んでいる光景は異様そのもので、エントランスの人間が
大注目する中、文字通り荷物扱いで待機しているタクシーに放り込んだ。

「良かったな」

そう笑いかけられて、やっと現実感が戻ってきた。

「あ、・・・ありがとう!ありがとう!イアン!」
「ああ。じゃ、来年な」

そう言ってイアンはタクシーの扉を勢いよく閉めて、
「さて、あの料理の山をどうするか」と周囲の好奇の目も構わずに自室に引き返した。








昨日降った雪がまだ残っている中、エリンの乗ったタクシーがゆっくりと自宅に着く。
大きな足跡が玄関の前から自宅の横へ伸びていて、エリンは深呼吸してその足跡をなぞるように追い掛けた。
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こんなに足大きかったんだ、と今更気づかされる。
自分はどんどん弱くなるばかりなのに、かつて弱いなんて思ったことを強く恥じ入るほどに
あんなに凛々しく、頼れる人だったということも今更気づかされた。
初めて人に自分のすべてを委ねてしまったほどに。

別れたあの日と同じように雪に覆われている中で、
まぶしい青空の下で庭に回り込むと庭のヒーターランプの元に見知った人影があった。
さきほどテレビで見たときとは変わってかつてのように髪をすっかり崩して、のんびりと海を見ている。

視界の隅で動いた人影に目ざとく気づき、アレックスの顔がエリンの方を向いて跳ねるように立ち上がる。
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半分溶けてまた凍った氷の雪をザクザクと踏んでいきながら、お互いに近づいていく。

「早かったのね」
「ああ、逃げてきた。もうあとは勝手にあっちが処理すればいいことばかりだしね」
「家の方は大丈夫だったの?」

こんなこと、私に言われなくてもアレックスはちゃんとやってるに決まっているのに、
何故かどうでもいい疑問ばかりが口を突いて出る。

「裁判でもなんでもすればいいって開き直ってきたよ。
 もうあっちは議員で食べてくしかないから人気商売で泥沼試合なんてできるわけないからね」
「そうね、すごいわ」
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話題が尽きて、なんとなく1歩分の距離を開けたまま沈黙する。

たくさん、話したいことがあるの。
教えたいことがあるの。

エリンが思い出したように笑いかける。

「あのね、今日はクリスマスだからダイアナちゃんとイアンと適当にパーティしようとしてたのよ。
 私初めてステーキ肉を料理したの」
「うん、それはすごいね」
「あとね、アレックスが帰ってる来るまでに庭を綺麗にしようと思って、マークに時々教えてもらいながら
 庭にたくさんバラを植えたの。海がこんなに近いのにとてもきれいに咲くのよ」
「それは見てみたいな」
「・・・・さっき私、ダイアナちゃんって言っちゃった?ダイアナって呼ばないと、怒るのよ。
 もう大人だからって。背もすごく大きくなったのよ」
「そうか、ちゃんと覚えておくよ。早く皆に会いたいね」
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嬉しそうに、アレックスが笑いかける。
また、そこで言葉が出なくなる。

「・・・・・・・」
「エリン」
「あと・・・・あとね。あとね、イアンが年明けには顔見せろって言ってたわ。先月また彼女と別れたから、
 どうせ暇なのよ、あの人」
「・・・・・・相変わらず一方的な約束をする奴だね」

若干アレックスの声が呆れたようになったが、それでも笑顔は消えない。
きょろきょろとエリンの目が雪の上を滑る。

「あと・・・・」
「うん」
「・・・・なんだったかしら」
「うん」

アレックスが、いつかと同じように手袋もなくエリンの手を掴んで体温を分ける。
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「色々聞かせて」
「あと・・・・・」
「ゆっくりでいいんだよ」

何度も思い出してきたあの穏やかな声が、まだ昔と変わらず耳元で響く。

  『そういえば、お願いがあるんだ。
     いつもは俺が言う側だったから、俺が帰ってきたら言ってほしいんだけど』

ちゃんとあの朝の約束を覚えている。

「・・・・・おかえりなさい、アレックス」
「うん、ただいま」

今まで一番嬉しそうにアレックスは微笑むと、2人の間に残っていた最後の一歩の距離がやっとなくなって
優しく唇を重ねた。
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少しだけアレックスの唇が冷たく、どのくらい待ったのだろうかと考えた。
何もかも変わった中でも、自分たちは何も変わってない。
唇を重ねた後でじゃれるように鼻先を当てて、「鼻が冷たい」と2人で笑いあう。


するとアレックスが改まった口調で言う。

「あと、俺も言いたいいことがあるんだ・・・・
 といっても、ニュース見てたなら、もう分かってると思うんだけどね」

固い凍った雪の地面にもかかわらず、アレックスは迷うことなくその場で膝をつく。
その優雅な仕草は流石ついさきほどまで公爵だっただけあって、自然だった。
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とっくに訊かれる内容を分かっていても、言われる前からエリンの顔には笑顔しか浮かばない。
答えなんてもう決まっている。

「公爵でない俺でも結婚してくれますか、エリン・ウッドヤード」
「もちろんするわ!」
「!」

うれしい時はうれしい。
単純な嬉しさが爆発して、アレックスを雪の地面に押し倒すほどの勢いでエリンは抱きついた。
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意外なほどエリンの素直な反応に、アレックスは驚きつつも雪まみれになりながら笑いあった。


















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エリンの庭にまた薔薇が綺麗に咲く5月になって、
自宅の庭でささやかな式が執り行われることとなった。

当然サウス家の人間は呼ばれず、ごく数名程度の友人たちとのものだ。

元公爵であるにもかかわらず、一個人としてプライバシーが法律で保障されることになったこともあるが
当初心配されたような騒ぎは意外なほどには起こらなかった。
かつて醜いとすら思っていたこの世界が、
こんなにも美しい優しさに溢れていることをアレックスは初めて知った。
それを招いたのがアレックスのあの最後のスピーチの力だったということは、彼自身は気づいていない。
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参列しているイアンが、白いタキシードに包まれたアレックスを見てポツリと呟く。

「俺の時はあんなの着るのはごめんだな」
「あら、じゃああたしたちの時には黒で揃えましょう。アルマーニで2人で同じの作るのよ。素敵でしょ」
「・・・・マーク?なんで俺がお前とするんだ?」
「でもアレックスかっこいいよー。私も将来旦那さんにはあんな服着てもらいたいなー」

うっとりとした表情でダイアナは兄を見つめ、連想しているのは勿論・・・・すかさずイアンがその妄想に
ストップを掛けた。

「ダイアナ。お前、花嫁の付添人だろ。さっさと行って来い」
「! しまった。じゃ、またあとでね」

時間になって、海沿いの庭にささやかなバイオリンの曲が流れる。
一同が見守る中、白いドレスに包まれたエリンがにこやかに登場した。
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厳かに歩くだけでなく、自分を囲む参列者に声をフレンドリーに掛けながら
ゆっくりと歩いていく。
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太陽の光を浴びて燦燦と輝く彼女にイアンが眩しそうに目を細めていると、エリンと視線がぶつかる。
少しだけイアンは首を傾げて、一言声を出さずに呟いてみせた。

『綺麗だ』
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エリンがはにかんだような表情を見せて、アレックスの待つ壇上に向かった。

今では数えきれないほど豊かな表情をするようになって、
彼女は相変わらず人を、自分を惹きつける。


きっと世界中で何百万回と繰り返される定例の儀式は問題なく、するすると進む。
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そして最後に進行役が、「それでは新郎より最後の誓いの言葉を」と呼びかけた。

それは予定にはなかったはずのコンテンツで、エリンがびっくりしたように目を見開いた。
構わずにアレックスがエリンの手を取って、
彼女の緑色の瞳を見つめながら誓いの言葉を述べる。

「私アレクサンダー・サウスは、エリン・ウッドヤードを生涯の妻と定め、
 健やかな時も病める時も彼女を愛し、彼女を助け、全ての喜びも全ての悲しみも、
 もしあるのであれば全ての罪も分け合い、たとえ死を迎えたとしても変わらず彼女を愛し続ける事を
 今日この場で誓います」

全ての喜びも、悲しみも。
全ての罪も。

人生の大半を他人に盗まれて、
他人から物を盗むことしか楽しみを見いだせなかった彼女の罪を共有できるのは
この世で唯一の共犯者のアレックスだけだ。

その一番悲しく醜いものすらも分け合いたい。

たとえ共に裁かれる日が来るとしても、その日まで共にいよう。
最後の時効まであと6年、赦されるわけではないけれども共に過ごす。

そのアレックスの誓いの言葉の真意を分かっているのは、新郎新婦を含めてこの場で4名しかいない。
それを知るイアンは表情を変えずに見守り続け、マークは目から零れる涙をそっと押さえる。
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自分の足にずっと纏わりついていた王室の鎖すら切り離してくれたうえ、
それでもまだ自分を引き受けると言ってくれるアレックスにお返しに何を言ったらいいのかも浮かばない。
邪魔をしないでと突き放していたのに、それでも見守って、
どんどん弱くなってしまった自分をどんどん強くなって、ひたすらに守ってくれた。

言いたいことは?

やっと、これだけが浮かんだ。
不思議と初めて口にする。

「愛してるわ、アレックス」
「俺の方が愛してるよ」
「そんなこと、な」

言い返しかけたエリンの口を塞ぐように、進行役が促す前にアレックスが唇を重ねる。
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それがこの強気な妻へのアレックス流の対処法だ。
しかも、いつまでたっても終わらない。

あまりの熱烈ぶりに進行役も止める気にすらなれず、無言で投げる動作を参列者にする。
最後の最後で進行が乱れたことに呆れたように参列者一同が笑い、
進行役の指示の通りに新郎新婦に向かって次々にライスシャワーが打ち上げられた。

ちなみに一番勢いよく、しかも新郎に集中攻撃して投げていたのは当然、イアンだ。
それでもアレックスは片方の手で自分たちの顔をライスシャワーから身を守りながら、笑いながらもキスを止めない。
誰の顔からも笑顔は消えなかった。


こうしてすっかり堅苦しい雰囲気がぬけた中、その場に音楽と食事が気ままに進む。
式の音楽が落ち着いて流れる中、歌手が参列者に優しく呼びかけた。

「それでは新郎新婦のファーストダンスです。皆様どうぞ場所をお空けください」
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潮風の中でドレスの裾を翻しながら、"ウッドヤード夫妻"が踊る。
アレックスはサウスの名を完全に捨てた。
かつてマークが作った戸籍上エリンの姓は別だが、普段の生活で名乗る分には呼び名など実際には影響しない。

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血筋、出生、名前すらも超えても、人は繋がることもできる。
ただ目の前にいるひとを、ありのまま見つめていたい。
踊りながらアレックスの頬を確かめるように撫でると、変わらない優しい目が自分を見つめている。
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「これからもよろしく、アレックス」
「こちらこそ、よろしく。エリン」

もう物語の主人公のようにもう破天荒でなくなっても、
ただ目の前の生活を全て大切にするだけだ。

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今日できた、自分の初めての家族とともに。








                    <最終話 Erin Woodyard エリンの物語 おわり>






























夕日が沈んでも音楽に合わせて見つめあって踊る2人を、
室内からソファーに掛けて頬杖をつきながらイアンはじっと見守っていた。
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たまたま化粧室から戻って通りかかったダイアナがそれに気づくが、
何となく言葉を掛けれずにイアンを見守る。

(どんな気持ちなんだろう)

最初会ったときにイアンがエリンを好きだというのは、何となく知っていた。
今の歳になれば既に確信になってる。
兄のアレックスがあんな風に突然居なくなっても、アレックスが戻った日も
当然のようにエリンを抱え上げて送り出していた。

いつから、やめたんだろう。
それとも、今でも?

(今だって、きっと・・・・全く何も思ってないわけないと思うんだよね)
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声を掛けようか迷ったが通り過ぎることを決めてイアンの前を通り過ぎて行ったところで、
我に返ったらしいイアンが立ち上がってダイアナの背中に声をかける。

「なーに見てたんだよ」
「! ・・・なんとなく」
「見とれてたか?」
「うん」

予想外の答えにイアンが初めてダイアナを見ると、振り返ったダイアナが切なそうな目で自分を見つめている。

「あのね、あたしイアンに言おうと思ってたんだけど」
「ん?」
「・・・・カッコよかった。カッコよかったよ、イアン」
「・・・・」
「アレックスが居なくなった時も、居ない間も、帰ってきたときも。・・・今も、すっごくカッコいいよ!」
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言っているダイアナの声が明らかに潤んでいるのに気づいて、さすがにイアンの胸も熱くなる。

とっくに彼女の気持ちには気づいている。
まるでおもちゃのようにくるくると表情を変えて、いつも纏わりついて来ればバカでも気づく。
いつかはただの初恋の思い出になることは分かってはいても、気づいてくれる存在というものの温かさを実感する。

誰もいない微かに音楽が聞こえてくる程度の静かな室内で大きく息を吐くと、初めてイアンが弱音を吐いた。

「な。あいつ、見る目ないよな」
「・・・・・・っ」

耐え切れずにダイアナが顔を押さえた。
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こっちに同情を掛けるような言葉を掛けない大人顔負けの気遣いをするくせに、
本人の代わりに泣けるその真っ直ぐさに救われる。

「ありがとうな、ダイアナ。正直俺がこうしてられるのはお前のおかげだ」
「あたし何もしてないよ!アレックスがいなくなっちゃったのも、あたしのせいだったんだもん!」

涙がその小さな指の間から流れていく。

「・・・・お前はな、自分で知らないだけで、色んな奴を変えてきたんだよ。俺も、あいつらもそうだ。
 終わったことで自分を責めるのはもう止めろ」

そこで初めてイアンがダイアナを抱きしめて、あまりに大きな肩と胸板に驚きながら寄りかかる。
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あったかくって、いい匂いがする。

「本当に、ありがとうな。・・・・ごめんな」

その謝罪で、すっかり自分の中のイアンに同調する気持ちを見抜かれていることが分かって申し訳なく思う。
人から同情されるなんて嬉しいわけないのに、イアンは何でお礼を言うんだろう。
やっぱり自分は相変わらずちっちゃい。
いくら経っても追いつかないよ。

そのままイアンが「お前も踊るか?」と尋ねて、涙を流すダイアナの返事を待たずにイアンが手を差し伸べる。

「お手をどうぞ」
「・・・踊ったことなんてないよ」
「教えてやるよ」
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ぎこちなく手を伸ばして、初めてちゃんとイアンの手に触れてその大きさに驚く。
イアンが足の動かし方を次々に指導して、一生懸命にその通りについてゆく。
まるで、自分の恋のようだ。

慣れるたびに絶妙に褒められながら、曲に乗る。
涙も乾いて笑顔でやっと音楽に合わせて動けるようになったところで、イアンが言う。

「お前に一番最初に言うんだけどな。しばらくここを離れる」

その衝撃的なイアンの言葉に思わず顔をあげて問い詰めた。

「なんで!?いつから?!居なくなっちゃうの?どこに行くの?!」
「というより、骨休みだな。
 仕事もあいつらもひと段落したし、2カ月くらい一人で南の方でのんびりしてくるだけだ。
 ほら、足が止まったぞ」

それを聞いて安心した。
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自分も、きっといま言うべきだ。

「あのね・・・・今日はお祝いだから言わないでおこうと思ったんだけど、あたしイギリスに行くんだ。
 そっちの大学の教授がね、ナノマシンとか詳しくて研究室に招いてくれて。
 ずっと迷ってたんだけど・・・やっぱりやりたいから」
「そうか・・・・いつ戻るんだ?」
「卒業するまで。大学だから普通は4年だけど」
「お前ならもっと短いだろ。行く機会があったらお前の所にも寄るよ。寂しいからちゃんと連絡はしろよ」
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いつもの憎まれ口を引っ込て、あのイアンが素直に言う。

「来るのはダメだよ!大人になって驚かしたいもん。メールくらいはしてあげるよ!」
「そうかよ、この薄情もん」

今日も一日くるくると表情を変えるダイアナに笑いかけながら、
結局イアンが笑顔で相変わらずの言葉を吐く。

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帰宅の準備をしていたころ、
エリンがにっこりと笑顔で今日一日付添人として頑張ったダイアナの元へ寄ってきた。

「次はあなたよ。はい、どうぞ」
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「・・・・えっ・・・ええ?!ありがとう・・・できるかなあ」
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エリンからブーケを受け取って、ダイアナの頬がピンク色に染まった。




そして物語はもう一人のダイアナの手に移って、再び動き始める。



Season2 will start.

第三十四話 I do not like you,but... そして時は経って

アレックスがサンセットバレーを去ってから丸2年が経った。



その日はブリッジポートの一番豪奢なホテルの一番大きな会場で、
ジョン・サウスが所属する党の新年を祝うという名目の政治資金を集めるパーティが開かれていた。

公爵の地位を継いで、父親の議員秘書という職は名目上は辞めているアレックスも
パーティーの箔を付けるため参加する。
といっても、その夜の真の参加目的はある人間に会えると思っていたからだ。
適当に媚を売ってくる人間相手に適当に愛想よく対応をする。

そして不思議なエネルギーを相変わらず迸らせているあの男がゆっくりと近づいてきた。
髪型は変わってはいるが、少し昔に雑誌で見たときと同じようになっていてアレックスでも
すぐに誰か分かった。

政界と財界が交わらないわけがない。

「こんばんは、ご拝謁できて光栄です。アレクサンダー・サウス卿」
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聞いたこともないくらいに言葉は丁寧だが相変わらずの自信家ぶりの出ている声音だと、
アレックスの顔が明らかに深く笑みの形となる。
わざとらしさを響かせないのはさすがと言ったところか。

その様子に話しかけてきた男もちょっと眉毛を動かしながら反応した。

「初めまして、イアン・グレンツと申します。一昨年ご帰還のニュースを拝見して、一度ご拝謁したいと思ってました」
「初めまして、グレンツさん。私も一度お話ししたいと思ってましたよ」
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会場中の方々で行われている通りに挨拶と握手を友好的に交わす。
つい、とイアンが視線で示すとおりに、人が少ない壁際で世間話に興じるふりをする。

明らかに広報用としか思えないような笑顔をはりつけたまま、イアンが小声で毒を吐く。

「お前のオヤジの仲間はこんなくだらない集まりによく俺を招けたもんだな。相変わらず料理最低だぞ、ここ」
「料理長が相変わらずバターを大量に使うしか能がないからね。マーガレットのローストビーフの方が
 比べ物にならないくらいに美味しかったよ」
「あれはうまいよな」
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かつてアレックスも居たころにマーガレットが振舞った手間暇しっかりかけた大きな塊のローストビーフは
全員で取り合いになるほど美味しかった。
この会場では小さく美しいオードブルが規則正しく並んでいるのに不思議と食欲もそそらない。

「お前のオヤジも狙い通りに党代表就任してニコニコだな」
「興味はないね。まあ党の方に夢中になってもらった方がこちらも動きやすいから助かってはいるよ」

アレックスの父親は防衛副大臣は任期満了して党代表に就任していた。
広い会場で、うろうろと泳ぎ回る政治家と財界人たちが溢れている煌びやかな場であるはずなのに心も踊らない。

「で、お前はあとどのくらいかかるんだよ」
「とりあえず寺院の方はもう終わるよ」
「・・・・お前、寺院のジジイ共ブン殴ったか?」

意地悪い顔をイアンが見せる。
当然、2人ともエリンを監禁していた寺院の人間にいい感情など思っているはずもない。

「誰かと一緒にしてほしくはないな。・・・・ただ、その場で殴られるだけの方がマシだったという程度に
 色々しておいた。そのうちニュースになるよ」

アレックスがした内容にあえてイアンは突っ込まず、すぐに話題を変えた。

「あとダイアナが大学に入ったぞ」
「! すごいな・・・・そこまでもう行ったのか」
「専攻はロボット工学だと。あいつの壁に貼ってある数式はもう誰も意味わかんねえよ。
 数式なのか何なのかも俺には自信がないな」

久しぶりに仮面を外して、アレックスは「そうか」と優しく笑う。
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少しだけ、沈黙が流れる。

「訊かないのか?」
「・・・・・・」

一番アレックスが訊きたがっていることなど当然すぐにわかる。
しかしイアンに訊くのは憚れるらしく、いつだかのエリンと重なるその態度にイアンは内心舌打ちをする。
お前ら この俺をどんだけ小物扱いしてんだ。

「ま、離れてる自分の女のすぐ傍に、こんないい男が居て取られないと思う方がおかしいよな。
 見栄張って訊けないお前の心配もわかる」
「誰もそんなことは思ってない。自意識が過剰なんじゃないか?」

2年経ったとも思えないような当たり前の感覚で、2人の間に苛立ったあの空気が蘇る。

「ま、あと2年待ってやるよ」
「何?」
「2年過ぎたら俺にまた手ェ出されると思って、せいぜい焦っとけ。今度は確実に落とすぞ」

それが本気か分かりかねたが、明らかにアレックスは不機嫌な声で言う。

「・・・・最初会ったときに思っていたんだが、君のそういうえげつないほどに自信家なところが俺は嫌いだよ」
「俺はお前のそういうお高くとまった上からの物言いが最初から大嫌いだけどな」

アレックスは自分の耳を疑った。

「俺が上から・・・?君が言うのか」
「公爵様には耳に毒の発言だったな。いいから早く帰ってこいよ」
「・・・・・・・わかってる」

まさかのイアンに発破をかけられ、アレックスは改めて気合を入れなおすように深く息を吐いた。
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そのタイミングでイアンに挨拶したそうにしている人間がそぶりを見せたが、公爵と話しているのに気づいて、
すぐに立ち去って行った。
人がまたいなくなったタイミングで、イアンが切り出す。

「あと女王様からの伝言があるぞ」
「気を付けろ。誰かの耳に入る」
「ここにいる奴らは自分のことしか興味ねぇよ。壁際にいるとよく分かる。
 鮫みたいにうろついて権力と金、互いに食い合ってるだけだ」

たしかに水族館の風景によく似ている。

「彼女はなんて?」
「俺はお前が来るのを直前に知って、空港で電話で訊いたからな。
 頭が真っ白で浮かばななかったらしくて、『野菜もちゃんと食べてって伝えて!』・・・・だと」
「・・・・・」
「・・・・・」

アレックスとイアンは同時に吹き出して声を抑えながら低く笑いあった。
それは極めて密やかではあったが、会場で心から楽しそうなのは彼らだけだった。








それから半年、アレックスがいなくなってから約2年半。

サンセットバレーに3回目の5月がやってきたて、ダイアナも15歳になっていた。
エリンは素晴らしい達成感で庭の薔薇の香りを楽しみながら庭でお茶会を開いていた。
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「本当に見事に咲いたわねぇ」
「でしょう?これもマークのおかげ!海に近いのにどの木もちゃんと咲いてくれたんだもの。すごいわ」
「あたしの手にかかればどんな花でも思い通りよ。と・く・に、薔薇は得意分野よ。あんたたち、おわかり?」
「? そうなの?」
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マークのギャグをいまいち理解しないエリンはとりあえず微笑む。
もちろんそれをちゃんと理解したダイアナとマーガットは、ぶはっと大いにウケた。

エリンは色々なことで世話になったマークと改めて友人として付き合いたいと思い、
彼にガーデニングを教わったりする付き合いを始めていた。
今ではマークから敬語すら飛び交わない、軽口も飛び交うような対等な関係だ。

もちろん他の街に住む彼とは物理的な距離があるので頻繁に会うわけではなかったが、
そのうちにマーガレットたちとも引き合わせることになって、
今日は"女子会"ならぬ"女子とゲイの会"を久しぶりに開いている。

一人だけマークのギャグに乗り遅れた感に気付き、エリンがマーガレットに解説を求めている隙に
マークが久しぶりに会うダイアナにチクリと嫌味を言った。

「それにしてもあんた、本当にでかくなったわね。ますます可愛げないわ~」
「いいの!あと少しで16になるんだし、さっさと可愛いなんて卒業したいんだから。
 でも急に身長伸びすぎて膝が痛くてね、レントゲン撮りにまでいったんだよ」
「そういえば中学から高校くらいの頃は周りがみんな膝痛がってたわ~・・・やだ、こんな話。
 あたしがオバサンになっちゃったみたいじゃないの。やめなさいよ」
「何言ってんの、勝手に思い出したのはそっちでしょ」
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「本っ当に相変わらず可愛くないわね」
「なによー!」

2人が言い合えば「はいはいはい」とマーガレットが仲裁に入るのもお約束だ。
定例のやり取りが終わってマークが海岸に向かって目を凝らしはじめたので、エリンが尋ねる。

「どうしたの?何か居た?」
「相変わらずお鈍いわね、せっかくの立地なんだから。いい男のサーファー探してるに決まってるでしょ」

ついつい、他の女性陣3名も海に視線を凝らす。

「まだ泳ぐには寒いのによく海に入ろうと思うわよね」とエリン。
「んも~、そこがいいんじゃん!私はスポーツやる人はやっぱ好きだな~、特にサーファー」と、ダイアナ。
「ほとんどウェットスーツ着てるじゃないの。やる気あんのかしら。観客のこと考えなさいよ」と、マーク。
「真夏でもあるまいし、水着でやる人こそいないでしょ」と、マーガレット。

しばらく、ああでもない、そうでもないと口々に無為な感想を言い合いながら、
一応軍出身でやはり偵察の素養があるのかマークが突然弾んだ声を出す。

「あらっ!あたし好みの顔も身体もすんごいイイ男発見~。しかもこっちに来るわよ!!」
「えっ」
「うそっ」
「あら、ナンパ?」

ぐぐっと身を乗り出した4名の視線の先に見えてきたのは・・・
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「イアンじゃない」

興味なさそうにエリンが言うと、
ウェットスーツ姿のイアンが髪から水をしたたらせながらサーフボードを砂浜に置いて庭に向かってやってきた。
エリンと、実際には年下が恋愛対象外のマーガレットが興味なさげに紅茶に口を付けるが、
残りの女性1名と男性1名は大フィーバーといった風にテンションが上がる。

「イアン!」

いつからか"イアン兄ちゃん"呼びも卒業し、
自分のことも"ちゃん"付けやめて、と言うようになったダイアナが彼に嬉しそうに呼ぶ。
マークも久しぶりの彼に大喜びで呼びかけた。

「あーん、久しぶりじゃないの!」
「よう。あっちからお前らが見えたから顔だけ出しに来た。水道借りるぞ」

慣れた様子でエリン宅の庭にある水道で砂と海水を流しだし、ダイアナが芝生の上を裸足で歩いて
イアンの元に「今日は波どうだった?」とニコニコしながら寄ってゆく。
するとイアンが突然大きく笑いかけて、ダイアナは唐突に心臓を鷲掴みにされた。

「お前、口にクリームついてるぞ」
「え、うそ。どこ」
「右、そっちじゃねえ」
「とれた?」
「ああ。つか腹減ったな」
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「じゃあ、あたしのケーキ半分あげましょうか?美味しくて舌が蕩けるわよ」

ウェットスーツを脱ぐイアンをばっちり凝視しながらマークがハートマークを飛ばして会話に入り込む。
しかし、すかさずダイアナが指摘した。

「ちょっとマーク。まだ余ってるのあるじゃん」
「は!これだから。この甘美な感覚は、子供のあんたにはまだ分かんないんでしょうね」
「なによ!子ども扱いしないでよね!」
「あんたまだ実際に子供じゃないのよ!胸もお尻もペッタンコのくせして!」
「!! そんなことないよ!ちょっとは育ってるよ!!」

今度ばかりはマーガレットも仲裁には入らない。もちろんエリンも。
この2人の深刻ではない諍いの原因(つまりイアン)がその場に居る限りは、止めても無駄であると
両名ともとっくに悟っていた。

「マーク、子供相手に大人げないぞ。こいつ怒ると面倒だから程々にな。つか何で食べかけなんだよ。新しいの寄越せよ」
「! だから子供じゃないってば!」
「はいはい、悪かったな」

濡れたイアンに適当なタオルを投げてやりながら、エリンが余っているケーキの皿を勧める。

「どれにするの?」
「チョコのやつがいいな。このまま食うから皿いらねえ」

お皿とフォークを用意しようとしたマーガレットを断るとイアンは手づかみでケーキに食いつく。
すっかりイアンに対しても"さん"付けをやめたマーガレットが、ふと首をかしげる。

「あれ、イアン。土曜の昼だよ。デートじゃないの」
「・・・・・」

何も言わずに もぐもぐもぐとイアンがケーキを食べて、明らかな黙秘をする。
あれから時間が流れる中、変わらず激しい夜遊び・女遊びはすっかり影はひそめたままであるものの
それなりに出会いがあればちょくちょくイアンも他の女性とデートはしている。
ただしエリンとの一件があってからも、しっくり来る相手がいない。
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恋話の気配に4名が色めきだった。

「もう別れたの!?」と、驚くマーガレット。
「あら、今度は2週間だから持った方じゃない。頑張ったわね」と、明後日の方向に褒めるエリン。
「もう海と結婚しちゃいなよー」と、イアンに独身でいてほしいダイアナ。
「男同志の方が色々と分かり合えるわよ、色々」と、真面目な顔でイアンを誘導するマーク。

黙秘を続けたままイアンが指先についたチョコクリームを舐めとると、その口元にマークの視線が刺さる。
イアンも決して彼を人として嫌いではないし、
実際にマークもストレートのイアンに本気で迫るような常識のない奴でもないが、さすがに背筋がゾワつく。

「マーク、お前そういう目で見るんじゃねえ」
「あら、ごめんなさい。いい男がいると、ついついね」
「・・・・今日はここで話題の肴にされるだけだから帰るわ」
「どうせいなくてもされるわよ、いいからちゃんと教えなさいよ」
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ずばりエリンが言ったことで、さらに女性3名男性1名が口々にイアンに質問責めを始める。

「で、原因は何で別れたの?」と、マーガレット。
「まさか二股してたとかじゃないでしょうね?」と、エリン。
「結婚迫られちゃった?」と、ダイアナ。
「やっぱり女だと物足りないんじゃないの?」と、マーク。

マークの言葉に対して、とうとうダイアナが「やめてー!」と突っ込んだ。
一人ピクニックシートではなく直接芝生の上に腰かけて、イアンは別に大した事でもないという風に言う。

「別に特別なことは何もねぇよ。一緒に居てもつまんねぇから、もう会わねえってなっただけだ」
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「自分から誘ったくせにそんなこと言ったの?」とマーガレット。
「うわ、キッツ・・・・」と、ダイアナ。
「じゃあ何で付き合おうとそもそも思うのよ」と、エリン。
「キッツいわあ」と、マークまで引いた。

自分たちで訊いておきながら揃ってドン引きする一同に、とうとうイアンの堪忍袋がブチ切れた。

「お前らうるっせえ!!なら訊くな!!」

そんなイアンの怒鳴り声などどこ吹く風で、4名は彼にどうしたらまともな恋人ができるかを勝手に議論し始める。
エリンも笑い転げながら、みるみる目の前の海に太陽がいつものように沈んでいった。











夜になって、高くなってゆく月を見上げる。

(今日もまた一日楽しかったな)

エリンはそう思いながら、いつか戻る持ち主を共に待つイーゼルを少し撫でた。
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こうしているときに思い出すのは随分昔にダイアナに教えてもらった言葉。

『今何してるんだろうな、とか。』
『元気かな、とか。』
『疲れてないかな、とか。』
『いつ次は会えるかな、とか。』

考えることは本当にその通りすぎて、ついつい微笑んでしまう。
たぶん月を見上げる暇もない中で今日もアレックスはきっと戦っている。

前の自分なら信じられないが、結局彼が詳しく何をするつもりなのか聞くこともしないで、
彼の言葉の通りに事態をただ彼に任せて自分は待っている。
自分の人生で、こんな風に人に何かを委ねたのは初めてだ。

ひどい自己嫌悪も罪悪感も通り過ぎて、今ではひたすら毎日彼が帰ってくるこの場所を守る。

あなたがいない間にも、たくさんの楽しいことはあったの。
でもそれを話す人が居なくてつまらないのよ、アレックス。

心の中で呼びかけながら、潮風で流れる髪を押さえてエリンは寝室に下がった。









ブリッジポートのサウス家の屋敷では、
部屋のテラスで色々な書類に目を通していたアレックスの手元を爽やかな風が走りぬけ、反射的に書類を押さえた。
そしてその風に顎を持ち上げられたように、彼は久しぶりに空を見上げ微笑む。

(ああ、今日は月が綺麗だったんだな)
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しかも綺麗な満月だ。

今頃、何をしてるかな?
そう彼女のことを考えるだけでも心がゆっくりと解れて温かくなる。

「・・・・もうすぐだよ」

アレックスは月に向かって小さく呼びかけた。












後日。

エリンを幽閉していたラマ寺院は国内の宗教多様化の流れを汲み、
国有から外れて王室所有および国有財産をすべて没収されることが発表された。

かつてエリンが住んで寺院も改装されて国立美術館となった。

一宗教団体に格下げとなったことで部の人間がその責を負って大量に更迭され、
それにより権力抗争で命を落とす者すら出る事態となった。

さらにその醜聞がどこからか表に出ると同寺院はさらに加速度的に弱体化し、歴史の波に沈んで行った。











三十五話<最終話>

第三十三話 Duke of South お前よりもイイ女

エリンは新年からあの海沿いの家に住んでいた。
あれから4週間経っても何にもやる気がしなくて、
適当にそろえた家具と、適当なデリバリーの食事で、適当に生活をしていた。
やりたいことがない。
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何年間も一緒にいてきても、かつてはアレックスと数か月会わないなんてこともあった。
気持ちが重なって共に過ごしたのは2日間にも満たないのに喪失感がものすごくて対処ができない。

あの一晩だけで自分にアレックスの子供が宿ることもなかった。
どうして期待してたんだろう。
寂しさを埋めるために欲しかったわけでもないけれど、心のどこかで期待していた事に驚きながら
ますます喪失感が募る。

でも一回も泣いてはいない。
たぶん色々なことで強くなったんだろうと自分では理解している。

マーガレットたちの様子は適宜確認はしているが、サウス家からは父親側のコンタクトも
母親側の異様な動きもないようだ。
たぶん死んだはずのアレックスが戻った混乱でサウス家も今はそれどころではないのだろう。

ただ空をこんなに綺麗だと思ったことは今まで生きていて一度もなくて、
いつも庭のヒーターランプを付けて寒くはならないようにしながら空いている時間はずっと冬の海を眺めて、
夕日が沈むのを待って、夜は星を見ている。

少し冷えてきた背中をヒートランプに当てながら、大声で独り言ちる。

「・・・・・こういうときってどうするのかしらね~」

大声で独り言を言い、ベンチの上で膝を抱えながらつま先を交互にパタパタとさせる。
すると、いないはずの受け手が返事をしてきた。

「そーゆーときはダチに愚痴るんだよ」
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その声にびっくりして、ベンチの上で全身が飛び上がった。
あまりに驚きすぎて動揺した心臓を押さえながらも、そのしっかりした声が誰のものだかはすぐに分かる。
海側から庭に向かって歩いてきた人影、それは久しぶりに見る顔だ。

「イアン」
「よう、新年おめでとう」

軽く笑いながら、海岸と庭を隔てる柵もない敷地にイアンが遠慮なく徒歩で入ってくる。

「・・・・なんで来たの」
「コート着てこい。どうせ、ろくな飯も食ってねーだろ。肌荒れてんぞ」

エリンは反射的に両手でスッピンの両頬を覆うが疑問しか出ない。
しかし今のは質問の答えになってない。
自分はイアンのプロポーズを断って、アレックスを選んだのに。

「なんで、・・・なんで来てくれるの?」
「・・・・お前、俺以外に友達いないだろ」
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ゴルフ仲間は所詮ゴルフだけの付き合いで去年からまだ会ってもない。
また今回の件だけはマーガレットにもダイアナにもむしろ自分がフォローに回る側で何も言えない。
でも、こういう優しさに乗るのはどうなのかとエリンが逡巡していると感づいたらしいイアンが呆れたように見返した。

「何だよ、その目は。お前はバカだから考えない方がいいんだよ。いいから行くぞ」

のっそりと立ち上がりながら、流石にエリンが唇を尖らせて「ひどい」と小声で言い返した。

「自分を振った女に優しい男はいねーんだよ。甘えんな。早くしろ」
「・・・・すいません」

そうしてとりあえずエリンは冬の海から引きずり出された。
海岸沿いの繁華街の適当なビストロに入り、食欲がないと断ったのにもかかわらず
イアンによって頼まれた久しぶりの生野菜のサラダを見つめながら、エリンは改めてイアンに尋ねる。

「ねえ、なんで来たの?・・・私、断ったのに」
「~~~~~・・・・・お前よりも断然頭のいい、イイ女に頼まれたからだよ」
「茶化さないでちゃんと教えて」
「別に下心はもうねぇよ。どうでもいいだろ。あと、その話はもうしないって約束しろ。絶交したいなら別だけどな」
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イアンにそこまで言われて、やっとエリンは質問攻めを止めた。

思った以上にひどい状態になっていてイアンは驚いた。
いつもの小綺麗なイメージが全くなくなっていて正直来てよかったと思わざるを得ない。
ため息をつきながら、つい1時間前の出来事をイアンは思い出した。













「イアン兄ちゃん、新年のカードありがとう。あのね、安物で恥ずかしいけどクリスマスプレゼントその2ね」
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新年を迎えたある日、ダイアナに珍しく呼び出されて、会社も休みで暇を持て余していたイアンは
ダイアナたちの家を訪れた。

「もう貰ったぞ?」
「んも~。話聞いてた?だから、その2って言ったでしょ。
 イアン兄ちゃんが約束した金額オーバーして渡すからこういうことになるんだよ?今度は約束守ってよね。
 おこずかいなくなっちゃうよ」
「はいはい、気を遣わせて悪かったな」

イアンがその場で開けると、オレンジと黒の効いた小洒落たメモ帳が出てきた。

「おお、いいな。お前こういう趣味いいんだよな。早速使うわ、ありがとな」
「うん。あのね、ちょっといい?」

すぐそばでマーガレットが3人分のお茶を用意している中、イアンだけに話があるとダイアナは自室にイアンを呼んだ。
パステルカラーの色で纏められていて、正直イアンには縁のない色調だ。
さらにその中に異様なほど難しそうな専門書の山が床や机に積みあがっているのに目を奪われる。
イアンすら知らないような、おそらく理数系の専門用語の山が見えて戦慄した。
実感してなかったが、ダイアナの頭脳は伊達ではないらしい。

「すごい本の山だな・・・・」
「読みたいのあったら貸すよ。今私がハマッてるお勧めは極座標のラプラシアンかな。
 変分法と一般相対論の公式、どっちが好きかな?」
「いや、いい。本気でいらん。
 ・・・・で、どうした、改まって。またお前の父親が何かしてきたのか」
「ううん、それはないよ。
 ・・・あのね、エリンおねえちゃん、アレックス兄ちゃんがいなくなって大丈夫かな?」
「さあ、どうだろうな?俺も忙しくて会えてないからな」
「そっか」
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なんとなく、ダイアナはそれが嘘だと思った。
そういうとき今までのイアンなら、進んでダイアナの不安を払拭してやろうと、この場ですぐエリンに連絡でも
するような性格なのに無関心すぎる。
無関心、ぶっている?

(やっぱり、アレックス兄ちゃんがいなくなったことで何かあったんだ)

いくらまだ中学生のダイアナでもそれだけは分かった。
ただ、こういう大人の問題に簡単に首を突っ込んじゃいけないことも最近は学んだ。
ならば素直に言うしかない。

「あのね、私ね、エリンお姉ちゃんと最近よく電話したりも時々するんだけど、いつも海の音がするんだよね」
「海?」
「朝も、昼も、夜も、ここ何週間かで15回は電話で話したけど いつも外にいるみたいなんだ。
 海沿いに引っ越したって言ってたけど、今1月だよ?」
「・・・・・・」
「ちょっと大丈夫なのかなって心配になって。私じゃやっぱり何も言ってくれないんだ。お母さんにもそうみたい」

イアンが何かを考えるように部屋の床に目線を落とした。

「確かエリンおねえちゃんって一人暮らしだよね。
 前に親いないっていうのは聞いたことがあったし、家族とかの話もあんまりしたがらないから
 何となく聞いたことないんだけど・・・イアン兄ちゃん、誰か知らないかな」
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あいつに家族は居ない。
唯一おそらく似たような存在だった人間も、今は居ない。

「・・・いや、知らないな」
「私、大げさかな。どう思う?」

こういう直観的な感覚は女の方が男よりも鋭いというのは何となく今までの人生経験でイアンでもわかる。
これまでの付き合いでエリンがこういう時に頼りそうな人間は浮かばない。
一人だけ例の黒髪のピアスの男が浮かぶが、違う町に住んでいるような人間に頼むくらいなら
正直かなり気が進まないが直接この話をされた自分が対応すべきだろうとも考えた。

しかし、頭では分かっていてもどうしても決めかねて長い間珍しくイアンも揺れた。

自分が行ったことで、結局さらにあいつを追い詰めるんじゃないか?
そもそも行って何をする?あいつの話でも馬鹿みたいに聞くのか?
正直今の俺はそれはごめんだ。
じゃあ放っておくか?放っておけるか?

辛抱強くダイアナは急かすことなく彼の返事を待つ。

「・・・・・わかったよ。とりあえず俺が見てきてやる。その代わりお前稼ぐようになったら何か奢れよ」
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「! ありがとう!すごく助かる!」

"クリスマスプレゼントその2"なんていうのは呼び出す口実で、実はこっちが本題だったのだと
イアンは請け負った後に気付かされた。
中学生のくせに、一人前の大人の女みたいな手を使う。

「大人になったらなんでも奢ってあげるよ!何がいい?」

そう言って無邪気に笑う様子に一杯食わされた感が否めず、イアンは憎まれ口をきいた。

「お前後悔すんなよ、トリュフ尽くしにしてやるからな」
「んも~、子供じゃないんだから。チョコレートはご飯代わりにならないよ?」
「そっちじゃねえ」








「冬は晴れが多いからいいよな」
「・・・・・そうね」

イアンは何も訊かない、エリンは何も話さない。
ただ「ここにいるだけはしてやる」、という彼の意思にすぐ気づいて、エリンの中にこの4週間で初めて
変化があった。

イアンがぼんやりと景色を見ていると、2人が掛けているテーブルにタン、タンという音が響く。
何かと思って横目でエリンをみると、
黙々とサラダを食べていたエリンが目を瞬かせながら大粒の涙を落としていた。
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やだ、どうして。
周りに自分以外の人間が来たことで、何かが緩んだみたいに次々に涙があふれる。

雫が机をたたく音が続くのもさらに無視して、イアンは頬杖をついて窓の外を眺め続けた。

「いい天気だなー」
「・・・・うん」
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ダイアナがいなければ自分はこうして来ることもできなかっただろう。
真に影響力のある人間というのは、こうして無意識に何もかも良い方向にもっていけるものなのかと
イアンはしみじみと感じる。

胸を貸してはやれないが、別の形で自分たちはまたやり直せる。
不思議とイアンはそう思えた。









一方のアレックスは、『やりたいこと』『やらなければならないこと』に追われて
嵐のような日々を過ごしていた。

三大侯爵家・サウス家の、ボート事故で死んだはずの次男が実は生きていたというニュースは
映画のようだと世間で取り上げられて大変な騒ぎになり、彼の親すらも事態を承服しかねて、
現当主であり父親でもあるジョン・サウスとDNA検査までされた。

新聞では『本人曰く、"妹"を目の前で亡くしてしまったショックで記憶をなくしてしまい、
数年間はひとりで生活をしていたらしい』ということが報じられた。

さらにそんなドラマティックな身の上を経験したアレクサンダーの姿が写真付きで報じられると、
それはそれで違う意味で若い女性を中心に大きな騒ぎになった。

心身ともに異常がないことがわかり、そのうちにアレクサンダーは以前を同じ生活に戻った。
ただし例の婚約者はアレクサンダーの喪が明けた直後にさる家の跡取りと結婚したらしく
とりあえずは身軽な状態となった。


(すごいな。家に戻ってももはや家という感覚すらない)
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懐かしいとは思うが休まる感じは皆無で、すっかり心が離れている自分にアレックスは驚く。
隠れ家『ウェイブ』と別れるときの方がまだ感慨が深かった。

鏡の自分を見つめながら、"舞台"に上がる前のごとく進める流れを確認する。

アレックスは変わらない家、変わらない両親を前にして、リビングの暖炉前のソファーで団欒という名の会議に入る。
以前と違うのは、ここに"妹"がいないことだ。

「本当によかったわ。一時はどうなることかと・・・・この家を私たちの代で終わらせるわけにはいきませんからね。
 代わりはいたとはいえ。」

タバコを指に挟んでいる父親に向かって、母親がチクリと言う。
既に2人の間でも公然の内容となった、愛人の子であるダイアナのことを暗に指しているに違いない。

「そのことで話があります。例のヨークとかいう女に父さんが生ませた子ですがね、俺は引き取ることには
 反対ですよ」
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「あら、そうなの?でも一応、女であることに変わりはしないのよ。キャサリンは亡くなってしまったしね。
 あの子はあなたと違って運がなかったのね。お気の毒だこと」

一応養母という立場であったはずなのにすっかり他人事の口ぶりに本当に自分の親かと疑うほど、
その感覚に共感はできない。
金で人を雇って誘拐まで企てるはずだと、アレックスは内心納得した。
くだらない威厳を保ちたいのか、相変わらず父親が理解あるセリフを言う。

「・・・・反対するなら意見を言ってみなさい」
「そんなもの明らかでしょう。
 ベイリー家の三姉妹は幼少の頃から継承者のなんたるかを知って、世間での振る舞いを心得てるというのに。
 かたや我が家が擁するのが、公立校出身で母親は赤毛の歌手をしているような子ですか?
 そんな子を第6王位継承者だと言っても反発を招くだけですよ」

内心ではマーガレットとダイアナに当然深く詫びながらも両親の痛いところを容赦なく突く。
アレックスだけがおそらく気づいている、淡い初恋をしている彼女に好きでもない男と結婚して子供を産めと
言えるわけがない。
こんな獣の檻にダイアナを放り込むなど絶対にさせない。

「もうその子に接触しないでください。我が家は今は異常にマスコミ注目を集めているのに危険すぎます。
 母さんもですよ。まあ連絡など取らないとは思いますが」

アレックスが釘を刺した瞬間、母親の目が一瞬見開いたのを見逃さない。

「・・・・もちろんよ、アレクサンダー。もうあなたがいますからね。・・・・ジョン、あなたもよろしい?」
「しかし、一応な・・・・」

それはマーガレットへの情が本当はあるからなのか、まだ見ぬ実の娘のダイアナへの執着なのかは
分からなかった。
しかし母親の暴挙も止められず、結局は一緒になってマーガレットたちを追い詰めていることに変わらない父親に
アレックスがかける情はない。
そこでアレックスは少し作戦を変え、大きく息を吐いて自信を見せつけるように余裕の表情でソファに背を伸ばす。

「父さん。俺がこの家にふさわしい相手を見つけて結婚して数年でもすれば、いずれ俺にも娘ができて、
 正式なサウス家の王位継承者ができるんですよ?」
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憂いを見せつけるように深く息を吐く。

「その子の存在は余計な騒動の種にもなりかねないし、俺が当主になった時に隠し子の妹なんていう存在を
 世間に知られるのも困ります。いい加減つまらない子供への執着はやめてください」
「・・・・・・」

今までアレックスはこんな尊大で傲慢な態度をとったことなど一度もないが、
「隠さない自信」が相手に与える威力は身をもって知っている。
・・・・誰から学んだのかは癪なので考えたくもないが。

「アレクサンダー・・・あなた、本当にあの子なの」

実の息子のあまりの"感動的で素晴らしい"変わりように、目を白黒させて母親が問いかける。
(実際にそれが素晴らしい人物像などアレックス本人は思ってもないが)

「もちろんですよ。家を離れてフラフラとつまらない時間を過ごして、俺も目が覚めました」

そう、目が覚めた。やはりここは俺の家じゃない。だから、いつかは本当の家に帰る。

あと父親を御しやすいようにするには、鞭だけでなく飴も与えなくてはいけない。
アレックスは一転して、にこやかに提案する。

「あとこれは提案ですが、ちょうど来期の党内代表選も近いんだし今のうちに俺に家督を譲るのはどうです?
 今ならいつも以上の熱気で奴らは集まってきますよ。マスコミの露出は多ければ多いほどいい。
 ・・・そろそろ父さんも党代表になってもいい時期だと俺は思ってました」
「いいだろう。娘の話はここまでだ。家督についてもお前が継ぐのは年齢的にちょうどいい。
 すぐに済ませるぞ」
「そう言ってくださると思ってましたよ」
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両親が嬉しそうに生まれ変わったアレクサンダーの提案を全面的に受け入れることとなった。
あっけなさに拍子抜けするほどだ。
子供が自分たちと違う意図を持って動くはずがないと本当に思い込んでいる。

そしてあと一つ。
これはエリンの金塊を回収するときに出したPMCに提示したある条件を達成するため、
現職 防衛副大臣の父親に事も無げに添える。

「・・・・あと国防軍の件ですが軍事訓練師事をそろそろ別のPMCに委託するようにしますよ。
 入札しているといっても、長期の一社集中は叩かれかねない。
 小さいですが俺が適当に見つけたところがあるので次の入札に加えさせます。いいですね」
「いいだろう。細かいことは官僚と調整しろ」
「わかりました」

これで終わりだ。
サウス家の"団欒"というアレックスの舞台は、和やかに幕を下ろす。

それから数日後、大衆の注目と支持を得られるうちに父親のジョン・サウスが
「アレクサンダーに家督相続をする」と宣言し、さらに世間は大変な盛り上がりを見せた。












アレクサンダーの復活フィーバーが世間で落ち着きを戻し、秋が巡ってきた。
正式に『アレクサンダー・サウス公』となり家督と爵位相続をし終えて、アレックスは老女の元を訪れる。
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「お久しぶりです、殿下。改めてご挨拶に伺いました」
「まあまあまあ、ニュースで顔は観ていたけれど元気そうね。まずはサウス家当主、就任おめでとう」

親しげに第一王位継承者のローズ・ベンジャミン卿がアレックスにハグをして面食らった。
今まで彼女にこんな親しげな挨拶をされたことはない。
その瞬間、老女が耳元で囁く。

「彼女も元気なのかしら」
「俺が最後に別れたのは・・・・もう10か月も前ですが"陛下"もお元気でしたよ」

この国で"陛下"呼びされる地位の人間は本来は1人しかいない。
そこで老女は目を細めてアレックスから離れた。

「・・・・すべてを知ったうえで戻ってきたのね」
「ええ。あと、色々やりたいことがありまして」

静かな時間がゆっくりと流れる。

「・・・・そう、何をしたいの?」
「そのうちの一つは、おそらく殿下がずっとしたかったことです。
 俺があなたの刃になれるように手土産は持ってきたつもりですが、足りますか?」
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アレックスが指す"手土産"・・・・サウス家の全権と公爵の地位は今やアレクサンダーのものだ。
老女の心に熱いものが込み上げる。
かつてその願いを込めてアレックスが父親を超えると言ったことがあったが、彼が"ダイアナ"と去ったことで
その夢は潰えたものと思っていたのに。

「・・・ええ。もちろんよ。いいわ、アレクサンダー。
 今度ね、内々にベイリー家のお嬢さん方を全員お茶会にお招きするの。
 本当は女性だけの気軽な集まりだったのだけれどそういうことなら、あなたもいらっしゃい」

そして次世代の三大侯爵家を担う人間が秘密裏に集う。









そして同時刻。
アレックスがいるブリッジポートから遥か南のサンセットバレーでは、
笑顔のエリンがピクニックシートを広げながら自宅の庭を見回していた。
秋だというのに海沿いのこの街は、まだまだ半袖でも過ごせる陽気な天気だ。

「ちょっと庭が寂しいかしらね、どう思う?」
「確かにそうね、ガーデニングでもしてみればいいんじゃない。せっかくいい家なんだし」

サンドイッチを選びながら、マーガレットが言う。

「海沿いでできるかしら?」
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芝は生えてくれているが、常に潮風が吹きつける環境に不安を覚える。
すると事も無げにダイアナがにっこり笑った。

「いいじゃん。できるまでやってみればいいんだよ」
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ダイアナの中ではいつも物事はシンプルだ。
そう言われて、エリンも元気に頷く。

「それもそうね!何色がいいかしら。あと2人ともこの辺りで植木屋さんとか知ってる?」
「花屋さんなら知ってるけどねー・・・知り合いでガーデニングやってる人とかいないの?」

マーガレットの意見を聞いて、すこしだけエリンは首を傾げて考え込む。
そしてとても見事な庭を持っている人が、ちょうどいることを思い出した。
久しぶりに会いたいし、彼女たちにも是非紹介してみたい。

「そうね、その人に教えてもらうわ」



数百キロ離れたままの2人の間を、季節は次々と通り過ぎていった。








→第三十四話

第三十二話 Oasis 緑色の目の怪物

※アダルト表現有





「あのね急に色々なことがありすぎて正直私、自分がどうすべきかまで浮かばないの。
 でもちゃんと話したくて来たのよ」

最初から彼女がこうして引き留めに来ることを予想していなかったわけではない。
アレックスは揺るがない。

「悪いけど俺は帰るよ。さっきの件もあるし、それは譲らない」
「・・・・わかった」
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厳しく言葉を突きつけながら、エリンの元へ歩く。

「・・・・・君を連れて行くこともしないよ、絶対に」
「わかったわ、じゃあ」

お互いの顔がなんとなく、見える。

「いつでもいいから、いつかは・・・ここに、私の所に、戻ってきてほしいのよ。それなら、いいでしょう?」
「嬉しいよ、そう言ってくれるのは。でも戻るのは無理だよ。
 ・・・島で2人で暮らせていた頃はね、エリン。
 君が、君自身すらも相手をどうでもいいと思ってる限りは 君が他の誰かといてもまだ我慢できた」

かつてのエリンは自分を求める男を拒まず、自分からは求めなかった。
でも彼女は変わった。

「この街で過ごした時間は確かにとても楽しかったよ。
 でも君がこの街でいつか他の男と人生を共にするのをおとなしく見守れるほど俺は人間はできてないんだよ。
 そんな奴を紹介されたら・・・・きっと殺したくなるだろうね」
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アレックスが初めて表立って見せたその激しい独占欲に、エリンの背骨が震えた。

一度蓋を開ければ現われたのは、優しさで眠らせていた深いところにしまい込んでいる彼の別の顔。
自分を求める男を拒まなかった彼女から欲せられる唯一の男になりたいと願う、
消えない独占欲まみれの自分をアレックスはもう抑えることができない。

「どうするにしても、こうするのがいいんだ。俺はもう今まで通りというのは無理だよ」

室内で白い息がぶつかり合い、アレックスの空虚な声が響く。
知るのが恐いのにそれでも欲しくて、もう一度繰り返す。

「戻ってきてほしいの、好きなの」
「・・・・・俺がすることに罪悪感を感じてそれを言わせているなら、取り消してほしい」

どうして?どういえば伝わるの?

「戻ってきて、ほしいのよ。アレックス」
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三度目は縋るように言うしかない。
それでもアレックスは何も言わず、さきほどまともに反応できなかったマーガレットたちの家の前の時よりも
強い実感が襲ってきた。
怖い。
ここでまさに今アレックスを失おうとしている実感が怖い。

「俺は家に戻る。予定通り後を継いで・・・俺は俺で適当に結婚もするよ」

アレックスは追い詰めるように、エリンがいない未来予想図を語る。
"予定通り後を継いで"、ということは・・・・彼が家に帰るということはそういうことだ。
かつて偽物の妹のふりをしていた時には味わうことのなかった何かが、エリンの中を駆け巡った。

「・・・・だめよ」

頭に血が上り、寒さのせいで声の震えが止まらない。
その途端にエリンの緑色の目に宿った色をアレックスは目ざとく見つけ、もう一度問い直す。

「なに?」
「そんなのはだめ」

据わった目でアレックスが尋ねる。

「どうして」
「・・・・・っ」
「言って」

アレックスに腰を抱かれて、囁く優しい言葉に導かれるのは
上品に構えた最後の砦を壊した先にある一番汚い部分。

「言って」
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欲しいならちゃんと俺を求めろよ、そうアレックスの目が言っている。

謙虚な態度も、
ムードがある表現も、
高尚な言葉もすべて取り去って醜い本音が零れ出た。

「あなたは私のものよ」
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独占欲にまみれた言葉を吐いたエリンの頬を、
手袋に覆われたままのアレックスの指が「もっと言え」と促すように滑る。

限界まで煽られた独占欲の熱さが、水に飢えたかのように彼を欲しがる。

「他の女になんか渡さない」

闇の中でアレックスが今まで見たことがないような甘い顔で微笑むのが見えた。
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自分の中の最低の独占欲を告げた羞恥でエリンが視線をそらすと、軽いものが足元に落ちる音が2つした。
服の隙間から入り込んだアレックスの温かい手の平に腰の肌を直接抱かれて、
床に落ちたものが放り投げられた彼の手袋だったと気づく。


「俺も他の奴には渡さない」


そして耳元で「戻ってくるから俺に任せて待ってて」と言われ、その初めて聞くアレックスの甘い低い声に驚く。
彼と自分がこの数日で何が変わったのかわからないまま触れ合いたくて抑えられない。
服の中で背中を撫で上げられ唇を重ねながら、舌先の今まで味わったことない感触に震える。
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しかし身体の強張りと手の平から伝わる泡立つ肌の感触に、腕の中のエリンを離さずにアレックスが尋ねた。

「寒い?」
「寒いわ、本当に寒い」

脱ぐのは無理!とエリンの顔が精一杯に訴えかけてくる。
入って籠るような毛布はもちろん、ベッドすらこの家にはまだないのもアレックスも知っている。
自分の体温を分けるようにさらに強くアレックスが抱き寄せると、頬に触れたエリンの髪が雪のせいでなのか
冷たく濡れているのに驚いた。

「・・・・・暖房はないんだよね」
「まだ入れてないけど、そこなら」
「ん?」
「・・・・浴室乾燥機はついてるけど」
「ちょうどいい」

エリンの肌に回した右手は離さないまま、
アレックスはすぐ近くのバスルームの入り口に付いている浴室乾燥のパネルをもう片方の手で入れる。
低い音で室内で温風が出ているらしい音を聞いて、正直な安堵のため息をついたエリンにアレックスは笑った。

「おいで」

暗闇の中で温かい風の元に避難して、扉が閉まる。
お湯が出るバスタブはあってもタオルすらないのにアレックスは迷うことなくシャワーを開く。

「服は濡らさないように気を付けて」

シャワーからの湯気がまるで爆発でもしたように膨らんで、ぬるい風が広がる。
2人分の厚いコートがドアの足元に重ねられて、過剰な湿度にすぐに衣服が少しだけ重くなる心持ちになった。
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止めるなんていう選択肢が当たり前のようにない。
ドアのすぐ横でエリンを壁際に追い詰めて唇を交わしながら、アレックスの動きが止まる。

「・・・・・」

片手でドアを少しだけ開けて、乱暴に投げ捨てられた服をアレックスがドアの外に蹴りだす。
不思議そうな顔でアレックスを見上げるエリンに「湿気で濡れるからね」と諭すように言い、そこではじめて
エリンも笑った。

「他の服も出さないとね」

シャワーの熱で2人の間で凍り付いていた空気がどんどんぬるくなって溶けてゆく。
両手でエリンのセーターを脱がせて、デニムを脱ぐエリンが倒れないように肩を支える。
さらに乱暴に室外に服を放り出した。

「先に入って。冷え過ぎだよ」

服を脱ぐついでに緩まってしまった髪を解く。
いくら暖かな湿気が満ちていても床も壁もまだ冷えていて、少し震えながらエリンはシャワーのお湯をくぐった。
たいして熱くないはずのお湯ですら鳥肌が立つほど熱く感じられて、
どれだけ体が冷えていたのかを思い知らされる。
いつもの習慣で髪まで濡らしてしまって、「あ!」と叫んだところでアレックスが全身を包み込む。

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「なに?」
「タオルないのに髪濡らしちゃったわ」
「もう遅いよ。乾くまでいればいいよ」

2人してシャワーのお湯をくぐりながら、アレックスに肌を食べつくされてゆく。
いつのまにか栓をされたバスタブにお湯が満ちて、動くごとにバスルームの床を濡らした。
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冷たさで鈍っていたはずの肌が茹だってすべての刺激に悦ぶ。

すっかりのぼせるような熱に包まれる頃に、
見たことないような余裕のない顔でアレックスが喘ぐ息をしながら問いかける。

「持ってる?」
「ないわ」
「どうする?」
「このまま」

答えるとすぐに与えられて、
向き合いながら立ってるのも耐え切れずに抱えられながらバスタブのお湯の中に身体が沈む。
何もかもが熱くてのぼせる。

一切の隔たりなく誰かと繋がるのは初めてで身体中が覚える充足感に戸惑い、
さらには家中が暗くて良かったと思うほど媚びるような声を上げる自分に驚いた。
こんなのは知らない。

向かい合って座りあいながらアレックスの押し殺すような低い息遣いに耳が集中する。
貪欲に深く欲しいところに当てるために足で捕まえて、
寸前に最後の理性の欠片で逃げようとしたアレックスも離さなかった。
一度許されるとあとはお互いに構うこともなくなり、幾度もずっと溶け合うままだった。








「・・・・暑い!」

使い尽くした全身の筋肉を奮い立たせて、自分の身体を放り出すようにアレックスがバスルームの扉を開けた。
まるで火事の煙のように湯気が外へと脱出してゆく。
西側の海岸線に面している家にはまだ日の出の気配もなく、まだ夜なのか早朝なのかも分からない

「大丈夫かい?」
「水、もっとのみたい・・・」

ドアを開けるまで何度か水のシャワーも浴びたにもかかわらず、半ば熱中症のようなほてりが抜けず、
エリンがバスタブの蛇口側の栓をひねった。

「はいはい」

アレックスが手の平を皿のようにして、エリンの唇に水が流れていくようにしてやった。
喉を鳴らしながら唇で自分の手の平に吸い付くようにされるとまた欲しくなってどうしようもない。
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水でやっと冷えた唇に、アレックスがまだ熱いままの唇を重ねて潤いを奪う。
それはかつて、アレックスが島で彼女に水を与えたときとは全く逆だ。
開いたままのドアでやっと室外に意識を戻したエリンが窓を見つめながら、自分の鎖骨に沈むアレックスに問いかける。

「アレックス、・・・・飛行機は何時?」
「・・・・・13時だよ。一度ホテルに荷物を取りに行くからここを10時には出る」
「たぶん欠航よ」

アレックスもエリンの目線に沿って窓を見つめると、主寝室の外のテラスに20cmくらいの大雪が積もっていて、
さすがに目を疑った。

「・・・・参ったな。さっきの件があるから早めに戻りたいんだけどね」

クリスマスシーズンでただでさえ、飛行機の便は取りにくい。
ドアのすぐ横の床に転がしたコートの上で転がっていた携帯を拾い上げて、すぐに調べる。
携帯電話の時計は2:13を示していた。
当たり前のように胸元でエリンを抱え込んで、右手の指は絡ませながら慣れない左手で携帯電話を操る。

「やっぱり明日・・・もう今日か。全便欠航だ。次に空いてる便は明後日の早朝だね」
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そう言いながらアレックスは素早く予約を済ませた。

「それまでは一緒?」
「もちろん」
「・・・・・じゃあ寝ていい?ちょっともう限界」

そもそも島から帰ってきて、しっかりとした睡眠も取っていなかったうえ夜更かしをしすぎて
体力の限界をとっくに迎えてる。
身体もしっかり温まったのが程よく抜けて、強烈な眠気が押し寄せてくる。

「ならここじゃなく俺の部屋に戻ろう。風邪をひくよ」
「もう引いてもいい・・・お願いだから寝させて・・・」
「だめだよ。せめて髪を乾かして、服は着ないと」


まだ切っていない浴室暖房の温風の真下にエリンが立つのを手伝うように抱え上げて、「髪、乾かして」と
呼びかける。
しかし当のエリンが「めんどくさいのよー」と首を適当に振って乾かすのを見て、
それはまるで子供が"いやいや"とする仕草のようでアレックスが笑う。
本当にこれはどうしようもない。

「・・・・しょうがないな」

最後の筋力を振り絞りながら、ほぼ体重を預けてくるエリンを片手で抱えて髪を左右に撫でながら乾かしてやる。

「寝てはだめだよ」
「・・・・・・」
「エリン」

滑って転ぶんじゃないかと内心焦りながらアレックスがしっかりと服を着せて、タクシーを電話で呼ぶ。
唯一気温が高いバスルームで濡れていないドア前の床に2人で座り、仮眠だけさせてやりながら
タクシーの到着を待った。
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その手を繋いだままアレックスの元で気持ちよさそうな寝息がすぐにして、なんとなく背中を優しく叩く。
ずっと、どうしようもない愛しさがずっと溢れている。

<・・・・他の女になんか渡さない・・・・>

あの言葉を何度も頭の中で反芻する。
強い嫉妬の緑色の目を宿したの怪物が彼女の中にもいることが分かった時に嬉しいと思ってしまった自分は、
もうどうしようもないほど彼女のものだ。

全てをやり終えて戻ってこれるのが月単位か年単位かも分からない。
ほんの1日だけ伸びたモラトリアムをしっかりと堪能することにして繋いだ手をさらに強く握った。










ホテルについた後はとにかく2人でよく寝た。

アレックスが出立する時が来るまでの丸一日は、
お互いに文字通りにひたすら甘やかし、甘やかされることになった。
恥ずかしがる暇も、飾る暇も、惜しむ暇などなく、次にいつこうして過ごせるのがいつになるか分からない。

寝るときは当たり前のようにエリンからアレックスに腕を回して 遠慮なくその温かさをもらった。
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言葉だけでも相手に安心をあげたいと馬鹿なようなことも平気で言い合う。

「よそ見はしないようにね」
「しないわよ、いらないもの。
 そんなこと言って、そっちも家に戻っても他の人とまた婚約なんてしないわよね?」
「しないよ、必要ない」


そして今度は暖かい部屋で柔らかいベッドで連れ込んだところで、エリンが初めて両手で抵抗するように
アレックスの動きを止めた。

「ん?」
「カーテン閉めてくれない?」

レースのカーテンが閉まってるので室内は外からは見えないが、エリンが閉めてほしいのは
夜に閉める方の厚手のカーテンのようだ。

「どうして?」

それは正直意外な反応で、興味深げに艶っぽく笑うアレックスが見下ろす。

「昼間の明るい時にしたことなんてないから落ち着かないわよ」

エリンが抗議した。
しかし"したことない"を一つでも多く欲しいアレックスによって、当然それは却下された。


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別れる当日には、
かなり早めの朝食で「美味しいよ」と勧められた果物を当たり前のようにアレックスの手から食べる。

そこでアレックスが「そういえば、お願いがあるんだ」とエリンにあることを話した。
アレックスがその内容言うと、エリンがいまいちピンとこない顔で尋ねる。

「・・・それを言ってほしいの?」
「それがいいんだよ」

そういえば、
何度も言われたことがあっても、言ってあげたことはなかった。

「うん、分かった」
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約束してエリンはにっこりと心から微笑む。
泣く時間ももったいない。












第三十三話








この話を期にゲーム中でも2人は正式に恋人となりました。いつも本編ストーリーでこのように筆者コメは残さないけど記念に。
おめでとう、2人共!(*´Д`)
そしてこのブログがある日消えてたら垢BAN食らったと思ってくださいwww

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