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第14話 弟がいたら Amina Ⅲ

←第13話





マリアといえば丸め込まれちゃった、という思いのままアンドリュー達の自宅の研究室に連れてゆかれ。
しかし求めに応じられるまま徹夜の興奮のままタラ教授は
イアン達に起こっていることが事実なのだと早口でまくし立てて言い放つ。

「君のような人間にこの現象を理解できないのも無理はないだろうな。まあ信じられないというなら飲んでみるがいい」
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「! なに言ってるんですかっ」 
「オーナーァ!失礼ですよ」 
『タラ教授。だめですよ』

自立思考のシムボット3体、”解毒薬開発チーム”のボスであるタラ教授に真っ向から歯向かうので
タラ教授は「うるさいうるさい。揃いも揃ってダイアナに似おって」と毒々しく呟く。
アンドリューはそのまま先ほど雇い主のイアン&アレックスからの伝言━━研究を急いで無理はしないようにとの旨を伝える。

「・・・。私は寝る。この娘の説得はお前たちが好きにするがいい」
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その探究心の強さゆえ、つい徹夜して寝不足で不機嫌なタラ教授は客間へ引っ込んだ。

そのあと残されたマリアはというと、
人間が感知できない領域でアンドリューとの関係を知らされたとでもいうのか
今回の騒動を引き起こしている薬についてのプレゼンテーションを3:1の構図で実に丁寧に受けることとなった。







「それで、ここが━━ アンドリューの部屋。すごい。オーシャンビュー」
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畏まったものを取り払ったアンドリューに連れられたあと、初めて2人きりとなって改めて照れが走る。
景色の話題で誤魔化した彼女の背中に、ぴっとりと彼が寄り添う。

「・・・家族以外の人が入るの、初めてだ」
「っ! あー、そうなんだ・・・」
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「・・・・」
「あはは・・・・」

後ろから強く抱きしめられてたままマリアの首筋にアンドリューの鼻先が埋もれて、囁かれる。

「さっきは焦った。本当に」
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これはもう、いつもとはぜんぜん重みが違う。
っていうか非常に単純だけど敬語を止められただけで相当に・・・・
うっすらガラス越しに目が合うとアンドリューが微笑む。

「顔。そこまで赤くなるの初めてだ」
「だ。だっ、だ・・・・って、さーぁ・・・!」

堪らずにマリアはその場に座り込んで、アンドリューもそれに倣う。

「・・・僕はもう他の子とデートしたりはもういいやって思ってたんだけど、そっちはどう?」
「え」
「僕が、・・・こういうことを訊くのは・・・違うのかなって思ったんだけど」
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人間じゃないから、という含意にマリアはつい無言。

けれど他の人間同士のカップルのように、真剣にコミットメントする段階に自分たちは来てる。
というよりも、それはもう済んでるといったところか。

今まで身体を幾度となく重ねては来たが、マリアの方からの始め方のせいで遊びの延長の色が濃かった。
明るく楽しく笑いながら、単なる気持ちのよいスポーツのようなもの。
そのため、このようにアンドリューから真剣みを帯びて押し倒されたことはない。

「嫌なら言って」
「・・・やじゃ、ない、けどさーぁ・・・」
「・・・・けど?」
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不安そうにアンドリューが動きを止めてマリアを真っ直ぐに見る。

「そうじゃなくってさ、あのさ。ここ・・・・アンドリューの家族、いる、んじゃないの?いいの、その・・・しちゃっても」
「居るけど聞こえない」
「そうじゃなくってぇ!は、恥ずかしいじゃない・・・?
 ルームシェアとかしてる友達じゃなく、親、っていっていいの?その、ダイアナさんとかも居るんじゃないの、いま」
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そんなの知らない、とばかりにアンドリューの手がマリアのポロシャツの下に忍び込む。

「マリアがそんな風になるの、興奮する」
「うそ~・・・」

煽るような言動とは分かってはいても本心から縮こまってみせているマリア。
そんな彼女を見たことなかった彼も止まれるはずもなく。
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マリアも完全に陥落した惚けた目で、さあ、いざそのまま・・・という瞬間。

ゴンゴンゴン!
最悪のタイミングでのノック。

「「・・・・・・・・・・・・・」」

アンドリューが『やっぱりイアンさんに言われた通りそろそろ1人暮らし始めるべきだった』と後悔し、
マリアが『やっぱり家にひとがいるときにするんじゃなかったよね』と自分の判断に自信を持った瞬間である。

口を開きかけたマリアに、「し」と人差し指を立てると、
ドアの外からアンドリューの名を呼ぶ女性の声・・・・ これはイアンの声だ。

「はい?何ですか?」
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「ほんっとに悪いんだが、ちょっとだけ。いいか」
「・・・今ですか?」
「むしろ今、だ」

アンドリューが今かと尋ねても引き下がる様子を見せないイアン。
手際よく下げられてたファスナーを上げてアンドリューはドアの方へ。
マリアは物陰に。
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ドアを開けると声音の通りに本当に申し訳なさそうなイアン。

「どうしました?」
「あー・・・俺は放っておけっつったんだけどな?・・・・あー・・・一応親族会議でだな。
 渡したほうがいいんじゃないかという結論になってな」
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「はい?親族会議??」

と、イアンの手の中にあるのは・・・”love sex”という文字と共に、非常に有名なコンドームの箱。
しかも2つ。

「・・・・・・・・・・・・」

そして始まるのは非常に珍しいイアンの自己弁護。
が、顔はニヤついている。

「俺は絶対邪魔してやるなっつったんだけどな。俺は!」
「でもジャンケンで負けたとかですか」
「それな!」
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「・・・。でも、その割りにワクワクで来たんですね」
「やっぱな!」

同じ男としては邪魔してやるなと思うものの━━特にイアンの場合はとあるトラウマがあるため━━
どうしてもどうしてもアンドリューをからかいたい気持ちが紙一重で勝ってしまった。

結果、エリンとアレックスと自分の親族会議(という名の超絶お節介な話し合い)を建前に、
悪乗り状態のエリンと共にイアンは笑いながら薬局に駆け込んだ次第である。
ちなみにアレックスは嗜める言葉を口にはしたが強くは止めてはいなかった。

当然邪魔されたアンドリューは怒り爆発寸前・・・・
「悪いなー。お前には要らないかもしれないけどやっぱり一応な?マナーだろ?」と完っ全に楽しんでるこの言い草に、
とうとうアンドリューの怒りは噴火した。

「イアン!」
「! おお」
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「んなもん自分でどうとでも考えるから来るなっ!そんくらい考えろよ!!!」
「おおお」

とうとうイアンにすら、この様子・・・なんともそれはイアンにそっくりな口調で、
怒鳴られてるはずのイアンは目をキラキラさせて見守った。

これは怒るだけ無駄だし、早くマリアのところに戻りたい。
アンドリューは怒りのまま即バタンッとドアは閉じる。

が、もう一度開いてアンドリューは怒りの目のまま吐き捨てる。

「イアンさ、弟居なくて正解だよ。いたら絶対こういうことしてたんだろ!」
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「だから。今。してんだろ?」
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にやぁとイアン、それはそれは最低な笑顔で片眉をあげて見せる。
アンドリューは一瞬目を見開いたが再度フツフツを怒りが沸いてきて、
小さく「ざっけんな」と呟いてドアを閉めたのでイアンはその場で馬鹿笑いで見送る。

かつては”息子”。ほんのついさっきまでそうだった。
しかし、内面が育ちに育ち一人で歩いて精神的に巣立った彼はもはや”弟”のようなものだ。
成長されるとそれはそれでさびしいもんだとイアンは低く笑いながら今度こそ邪魔するのは止めてやった。







「・・・・起きましたかぁ?オーナー。お昼ごはん出来てますぅ」

太陽が真上から少し傾き始めた時刻。
シムボット・アルテイシアが寝起きのタラ教授に合わせるかのように控えめな声音で笑いかけた。

「このまま過ごしていいって言われてますけどぉ、ホテルに荷物運んじゃいました。いいんですよね?」
「ああ。流石に他人の家に住み込みで働ける程わたくしは図太くはない」
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「さっきマーガレットさんからお電話が入ってましたぁ。
  『今回はダイアナとアンドリューの件でごめんね』って。『起きたら誕生日のお祝い、させてね』だそうです」
「・・・・そうか」

ダイアナの実母マーガレット。
かつてイアンとダイアナの関係が表沙汰になり、イギリスでの仕事を止めて騒ぎが収まった後は
またここ。サンセットバレーに戻ってしまった。
といっても住まいは安全上の理由だかで、かなり高価な良いところになっているようだが。
━━ この国に戻ったのは別の理由もあることをタラ教授だけは知っている

寝起きにマーガレットのことをぼんやり想っている様子に、
シムボット・アルテイシアは耐え切れないように疑問を口にした。

「前から訊きたかったんですけどぉ、そうしてマーガレットさんなんです?」
「うん?」
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「だって、マーガレットさんてぇ。なんていうか、オーナーのお付き合いしてきた方と比べると・・・そのぅ・・・」

美人の部類だが光り輝くほどの引力はなく、歌手をやっていたとはいえ場末の店で細々。
会社勤めするも一番下の管理職となってのち退職して・・・

「すごくぅ・・・普通っていうかぁ・・・素敵なんですけどぉ。オーナーの他のデートしてた人とかの方が派手ですぅ」
「アルテイシアよ。お前はマーガレットという人間をどう思う?」
「えっ。そりゃあ・・・優しくて、わたしは食べられないですけどぉ、お料理上手なほうでぇ・・・素敵な優しいお母さんですぅ」

誰もが主役にあろうとする世界で、
脇役というポジションであることなどお構いなしといった風に常に柔順な”母”の顔。
・・・昔からダイアナを中心に生きてきた良き母親である彼女。
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母として笑って、母としてしっかりキビキビしているマーガレット。
皆がよく知る、あの笑顔を思い浮かべる。

「そうだな。素敵な”母親”だよ」

もちろん、この教授が惹かれたのはマーガレットの別の顔である。

そんな彼女を語るには、
今から20年以上前━━ ダイアナとアレックスの父親ジョン・サウスとマーガレットの話が必要だ。






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Comments

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まるまるいさんへ
こんにちは!
まるまるいさんでお名前覚えておりますよ(◍´͈ꈊ`͈◍)お久しぶりです&コメントありがとうございます

第三シーズンは始める前はアンドリューを中心にと考えてましたが、ここまで登場人物が増えてしまうと
アレックス夫妻をはじめとする、色々な彼らをそれぞれスポットを当ててストーリーを書いてみようと思っているので
どのキャラクターもそこまでスイテくださってるとのこと、とっても嬉しいです!!
かつてのアレックスやエリンやダイアナ、イアンと同じように、
アンドリューも成長してマリアさんとの関係も前進をみせました♪
今回は邪魔されたけれど、アンドリューのアンドリュー、がんばれ!(笑!)

シーズン1、もうかなり前なのにまだついこの間のようにも感じてます///
引き続きもちろん書かせていただきますので、引き続き見守って読んでくださったら本当にうれしいですよ~。
早速のコメント誠にありがとうございました!

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